物心二元論(読み)ぶっしんにげんろん

世界大百科事典(旧版)内の物心二元論の言及

【体】より

…二元論のもとになったのはユダヤ教とキリスト教の考え方である。ユダヤ思想では霊(ルーアハrûaḥ)と肉(バーサールbāśār)をはっきり分けたが,この霊肉二元論がキリスト教に受けつがれ,さらに近代の物心二元論が発展してきた。古代ギリシアでは,心と身体・物体の分け方はもっと複雑である。…

【心理学】より


[心理学の歴史]
 まず,ギリシアの昔から説き起こせば,すでに,肉体から独立してイデアの世界に存在する霊魂を考えたプラトン,肉体を素材(ヒュレ)とする形相(エイドス)としての霊魂,肉体を肉体たらしめ,活動させる原理としての霊魂を考えたアリストテレス,霊魂をも含めて万物は原子の運動に由来すると考えたデモクリトスやエピクロスらの説があった。プラトンの霊肉二元論は,中世のキリスト教思想を支配し,近世においては,物質の本質を延長とし,精神の本質を思惟としたデカルトの物心二元論に引き継がれた。さらに19世紀にはじまった近代および現代の心理学においては,精神を肉体から独立に存在するとは考えないけれども,精神をそれ自体として独自に研究しようとする人たちの理論に影を落としている。…

【精神】より

…したがって,ここでは人間における身体と精神はまったく異なった秩序に属するものであって,精神は身体から分離可能であるばかりでなく,むしろ身体の穢れから浄化されるべきものと考えられる。近代になっても,たとえばデカルトは,身体は空間的広がりを本性とする物体の秩序に属するのに対し,精神ないし理性は思惟を本性とするそれとは別の秩序に属すると見る物心(身心)二元論を説くが,その場合も人間理性は大いなる理性である神につながるものと考えられている。そのため,デカルト以後の近代初期の哲学においては,これら異なる秩序に属する心身がどのような関係にあるのかという問題をめぐって,相互作用説,平行論,機会原因論,予定調和説など多様な仮説が提出されることになる。…

※「物心二元論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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