世界大百科事典(旧版)内の瑜伽行唯識派の言及
【唯識説】より
…また,存在のあり方を認識主観とのかかわりによって遍計所執性(へんげしよしゆうしよう)(主客として実在視されたあり方),依他起性(えたきしよう)(縁起によって生じている相),円成実性(えんじようじつしよう)(主客の実在視をはなれた真実のすがた)の三つに分ける三性説,およびそれを否定的に表現した三無性説も唯識説独自の思想である。この唯識説を唱えた学派は瑜伽行唯識派とも呼ばれるように,この説は,ヨーガ(瑜伽(ゆが))という実践を通して,識のあり方を汚れた状態から清浄な状態へ変革すること,すなわち汚れた識を転じて清らかな智慧を得るという〈転識得智(てんじきとくち)〉を究極の目的とする。このインドの唯識説は7世紀に玄奘によって中国にもたらされ,法相宗が成立した。…
【唯識派】より
…あらゆる事象は唯(た)だ識が変化したものにすぎないという唯心論を唱える,インド大乗仏教の学派。ヨーガの実修を好む瑜伽師(ゆがし)と呼ばれる人びとによって創立されたことから瑜伽行派(ヨーガーチャーラYogācāra)または瑜伽行唯識派とも呼ばれる。唯識説は3~4世紀ころに,《解深密経(げじんみつきよう)》《大乗阿毘達磨経(だいじようあびだつまきよう)》などによって初めて主張された。…
※「瑜伽行唯識派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」