世界大百科事典(旧版)内の真実主義の言及
【イタリア文学】より
…これにほぼ前後して,同じくシチリア島パレルモに住む医師G.ピトレが民話を採集し,民俗学を興して,最も貧しい文盲の人びとの心の奥に科学の光を当て,《シチリア民間伝承文庫》25巻(1871‐1913)を著した。しかしながら,このように社会の暗部を明るみに出して,デル・ベーロ(真実)を描きだそうとめざした〈ベリズモ(真実主義)〉も,ベルガ以後は文学的深化を遂げずに,単なる地方主義文学へと解消してしまった。そして真に社会的責務を果たす文学へと発展するためには,ファシズム期文学の呪わしい経験をへなければならなかった。…
【ベリズモ】より
…そしてベルガ自身,没我の視点に拠る自分の手法を,短編《ネッター》《グラミーニャの恋人》や長編《マラボリア家の人びと》の序文のなかで検討し,真実(デル・ベーロ)を目ざす文学と述べている。これから〈ベリズモ〉に〈真実主義〉の訳語をあてることもある。 1860年に統一を達成したイタリアは,より強力な近代国家を目ざす北イタリアと,統一によって期待を裏切られた南イタリアとに,大きく分かれていく。…
※「真実主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」