世界大百科事典(旧版)内の石の聖書の言及
【ゴシック美術】より
…これらの高い円柱形に刻まれた人体像は,まだロマネスク的な制約に服しているが,やがて13世紀のゴシック彫刻の独立した立像に発展する第一歩をふみ出したもので,すでに顔面に精神の輝きが現れる。このほか,扉口にはタンパン大浮彫として〈最後の審判〉を刻み,周囲に〈月暦〉〈賢い処女たちと愚かな処女たち〉が明らかな配置をもって表され,民衆のための〈石の聖書〉と呼ばれるゴシック大聖堂の彫刻装飾の発端をなしている。シュジェールのおこなわせたこれらの装飾事業は各地のロマネスク芸術家工人を呼んで当たらせたが,ビザンティンの影響下で,後期ロマネスク図像美術のうちに現れていた人間表現の関心を新しい現実感情と結びつけて,13世紀のゴシック美術の準備がうかがわれる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」