世界大百科事典(旧版)内の社会的権力の言及
【結社の自由】より
…しかし,結社は個人の自由の拡大という側面をもち,また,社会的弱者にとって自己の立場を守る盾となりあるいは主張を貫く媒体ともなりうるのであり,実際19世紀後半より大企業や労働組合など各種の強大な結社が生まれ,今世紀に至ってその傾向はいっそう顕著となり,今世紀はときには〈組織の世紀〉などと呼ばれる。しかし,今日,そのような組織が,同時に政治や社会のあり方を大きく規定し,また個人の生活を左右し自由を脅かす存在であることも強く自覚されるに至っている(いわゆる〈社会的権力〉の問題)。〈社会的権力〉への参加(例えば,マス・メディアへの〈アクセス権〉)や〈社会的権力〉による新たな権力分立の構想が語られたり,憲法の保障する基本的人権の私人相互間における妥当性が問われたりするのは,そのような自覚の現れである。…
【権力分立】より
…行政権についていえば,一方で,君主ではなく,国民意思による権威づけを与えられた行政府首長が重要な役割を演ずることによって,議会による民意の独占が破られ,他方で,そもそも民意のとどき難い官僚制部門が強大化し(行政国家),裁判所に関しては違憲審査制の役割が大きくなり,少なくとも裁判過程の法創造性が強まる(裁判国家)。そのうえ,国家すなわち政治権力だけでなく,さまざまの社会的権力が,〈権力〉分立の問題のなかに登場してくることになる。 日本国憲法は,国会を〈唯一の立法機関〉(41条)とし,〈行政権は,内閣に属する〉(65条)と述べるとともに,〈すべて司法権は,最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する〉(76条1項)と規定し,立法・行政・司法の3権の分立を基本構造として採用した。…
※「社会的権力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」