神人共食(読み)しんじんきょうしょく

世界大百科事典(旧版)内の神人共食の言及

【相嘗】より

…嘗はなめる,ねぶる,味わうの意で,《日本書紀》などの新嘗(にいなめ)や大嘗祭の記事ではナフライとよまれており,転じて直会(なおらい)となる。したがって相嘗は直会と同じ意であり,神祭にさいして,神に神饌をささげ,それを司祭者・参加者がいただく神人共食の儀礼である。この相嘗を通じて神と人との親密さが加わり,神は人を守護することを保証し,人は神を敬い,祈願し,報謝する。…

【共食】より

…神と人とが同じ食物を味わうことによって,両者の親密を強め,生活安泰の保証を得ようとするものである。神人共食の儀礼は人間どうしの共食の風にもおよび,村運営のための寄合その他各種集会にも共同飲食がおこなわれる。〈一味同心〉といい,同じ飲食物をともに味わうことによって親密感を増し,心を一にして共同体的結合を強化しようとするもので,中世郷村制成立期の惣村・郷村における茶寄合もその一つである。…

【直会】より

…新嘗や大嘗の嘗の字の古訓が〈ナフライ〉〈ナムライ〉であり,直会は〈ナフリアイ〉〈ナムリアイ〉で神と人とが共食することである。この神人共食によって神と人との親密が加わり,神の守護が得られるものと考えられた。この儀礼は本来神事の根幹をなすものであったが,今日では神事終了後の宴のように解され,神饌も熟饌から,そのままでは食べられない生饌に変わるにいたった。…

【新嘗祭】より

…これをニイナメとよむのは後になってからで,本来はニイナエ(ニヒナヘ,ニヒノアヘ。アヘは〈饗〉で神に食物を供えることないしは神人共食の意味である)らしく,ニフナミという東国風の音(《万葉集》巻十四)もあった。ニヒ,ニフは稲積(にお)を意味するニホとも関連が深い。…

【年始】より

…四国などには,元日の朝早く分家一同が本家の表戸を開けに行く門開きと呼ばれる習俗も残されており,こうした一族の行事が地縁その他に拡張され,村年始といった全戸を回礼する習俗や,また都市にいたっては商家の顧客回りや職場の上司への年始,さらには訪問をいっさい欠いた年賀状の発達などに進展していったものと思われる。なお,年始客の接待に喰摘み,手掛けなどといい,三方にあしらった食物を出し食べるまねをさせる習俗があるが,これもこうした本来の神人共食が形式化したものである。【岩本 通弥】。…

※「神人共食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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