稗史小説(読み)はいししょうせつ

世界大百科事典(旧版)内の稗史小説の言及

【読本】より

…こうして開拓された小説技法,すなわち,典拠として中国小説を多用し,かたわら日本の古典,俗史書,伝説地誌,先行芸能などを素材として摂合し,ないまぜ,それらの〈引用〉を,別途に新たな趣向によって総体として組み立てるという方法が,読本の小説技法の基本原則となり,後期読本にも引き継がれた。 19世紀に入り,江戸を中心に盛行した後期読本は,《桜姫全伝曙草紙》(1806),《飛弾匠物語》(1808),《三七全伝南柯夢(さんしちぜんでんなんかのゆめ)》(1808),《椿説弓張月》(1807‐11),《南総里見八犬伝》(1814‐42)などの代表作にみられるように,その伝奇的長編性を特色とし,総冊数が数十冊をこえることも少なくなく,〈稗史(はいし)小説〉とも呼ばれた。その技法も構想,構成の面で新しく展開し,〈勧善懲悪〉の理念を小説原理としてかかげ,仏教的因果観を物語の構想に援用し,伝説的な英雄,豪傑,才士,佳人らに配するに超人的な怪人,魔怪をもってし,善悪黒白あい乱れ葛藤しつつ大団円を結ぶという,娯楽性ゆたかな伝奇長編小説としての性格が著しい。…

※「稗史小説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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