純生産物(読み)じゅんせいさんぶつ

世界大百科事典(旧版)内の純生産物の言及

【ケネー】より

…とくに〈経済表〉は,ケネーの経済思想の核心をなしており,後世の経済学者から経済循環図式,再生産表式産業連関表の原型であると高く評価された。ケネーは,農業だけが〈純生産物produit net〉を産出し,製造業は土地の生産物に加工し,製品に仕上げるだけだから,資本その他の資源をできるだけ多く農業に配分することが,当時のフランス経済と財政の再建に必要だと考えた。そして当時の重商主義的な規制に反対し,産業の自由競争を内容とする自由放任政策を主張し,農業の〈純生産物〉に対する単一課税という抜本的な税制改革の採用を説いた。…

【重農主義】より

…自由放任主義の提唱は,重商主義的な国家的干渉や独占の排除によってはじめて〈取引される富〉,とくに農産物にはその正常な再生産を可能にする〈良価bon prix〉が保証され,その結果,一面では地主階級の収得する地代が増加し,他面では農業資本の増加による農業生産性の上昇が可能になる,という理解を基礎としていた。また地代に対する単一課税論は,恣意(しい)的な租税負担を廃止して,課税対象を農業でだけ生みだされる剰余価値つまり〈純生産物produit net〉に限定すべきだと主張し,農業資本ひいては社会的総資本の再生産の縮小を回避することを意図したものである。その理論的根拠は,地主の地代収入となる純生産物だけが,再生産にとって直接必要のない自由処分の可能性をもつという理解にあった。…

【剰余価値】より

… マルクス以前の経済学は,上記のような剰余価値の概念を生み出さなかったが,その理由をマルクスはつぎのようにみていた。重商主義は商品売買そのものに利潤の根拠があるとしてしまったし,重農主義は生産を重視し剰余価値の概念にほぼ相当する〈純生産物〉を問題にしたが,その源泉を農業に,そして農業経営に限定してしまった。また,古典派経済学は,基本的には労働価値説にたちながら,資本家と労働者の間の関係を労働の売買(労働力の売買ではなく)としてしまったために,利潤の根拠が剰余価値にあり,剰余労働の搾取にあるとするには至らなかった,と。…

※「純生産物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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