耳癤(読み)じせつ(きゅうせいかのうせいげんきょくせいがいじえん)(英語表記)Otofuruncle (otitis externa circumscripta)

六訂版 家庭医学大全科 「耳癤」の解説

耳癤(急性化膿性限局性外耳炎)
じせつ(きゅうせいかのうせいげんきょくせいがいじえん)
Otofuruncle (otitis externa circumscripta)
(耳の病気)

どんな病気か

 外耳道は外側3分の1は軟骨部で、内側3分の2は骨部です。軟骨部は皮下組織が厚く、毛包(もうほう)(毛根を包む細胞)、皮脂腺汗腺など、分泌を行う組織が数多くあります。これらの組織が感染を起こすと、(うみの塊)をつくります。つまり、にきびおできと同じものが外耳道内にできるのです。

原因は何か

 耳かきや爪などの外部からの刺激による感染がほとんどで、夏季に多くみられます。細菌検査を行うとブドウ球菌が頻繁に認められます。複数のをつくり、何度も症状を繰り返す場合は、糖尿病などの全身疾患が隠れていることがあります。

症状の現れ方

 一般的な外耳道炎に比べるとかなりの激痛を訴えます。その痛みが頭痛として頭部にまで広がることもしばしばあります。多くの場合は外耳道の入口にできますが、外耳道の内側にできた場合はさらに痛みが強くなります。

治療の方法

 自潰(じかい)、つまり、破れてうみが出てしまえば症状は軽快します。外耳道炎と同様の治療で抗生剤、副腎皮質ステロイド薬の局所塗布と同時に、感染に対しては抗生剤を、痛みに対しては鎮痛薬を内服するとよいでしょう。さらに癤の自潰を早めるために、温湿布サリチル酸の塗布、また、綿花でつくったタンポンで圧迫します。全身疾患の合併がなければ数日から約1週間で改善します。

中山 明峰

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典(旧版)内の耳癤の言及

【耳】より

… 炎症性疾患には外耳炎,中耳炎がある。外耳炎のうちとくにおでき(耳癤(じせつ))は激痛を伴う。中耳炎は細菌が耳管より入り中耳に炎症を起こすもので,急性と慢性があり,急性中耳炎は風邪をひいたときなどに子どもにみられることが多い。…

※「耳癤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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