世界大百科事典(旧版)内の聖母奇跡劇の言及
【宗教劇】より
…これはもともと聖者伝中の奇跡を劇化したもので,12世紀には聖ニコラ,聖ラザロ,聖パウロなどの奇跡劇が行われていた。しかし最も有名なものは14世紀後半から流行した数多くの聖母奇跡劇であり,これはいずれも悪人が前非を悔いて,聖母の慈悲によって救われるという内容のものであった。 受難劇は,その成立の過程としては,復活祭劇が〈聖母マリア哀歌〉や〈マグダラのマリア改心の場〉を手がかりにして,〈受難の場〉にまでさかのぼり拡大したものといわれるが,いずれにせよこの〈受難〉を主題とする劇は,13世紀から15世紀にかけてヨーロッパ中に浸透し,話の内容としてもキリストの全生涯,旧約聖書中のエピソードやいわゆる外典中の物語,さらには土着的な伝承なども付け加えるという形で大規模化・世俗化していった。…
※「聖母奇跡劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」