聖餐神秘劇(読み)せいさんしんぴげき

世界大百科事典(旧版)内の聖餐神秘劇の言及

【カルデロン・デ・ラ・バルカ】より

…歴史に題材を求め,王によって擁護される平民の名誉を描いた《サラメアの村長El alcalde de Zalamea》(1643),哲学的戯曲の最高作と見なされている《人生は夢La vida es sueño》(1635),宗教的な《すばらしい魔術師》(1637),夫婦間の貞操観念を扱った《己(おの)が名誉の医師》(1635)などが代表作である。またカルデロンは,聖体の秘跡に関するテーマを扱った一幕物の聖餐神秘劇の第一人者でもあった。これは聖体祭に野外で山車の上で演じられる寓意性の強いスペイン独特の宗教劇で,抽象的な概念が人格化されて現れることによってカトリックの理念を具体的な形で表現することに役立った。…

【バロック劇】より

… 17世紀のスペインには,カルデロン・デ・ラ・バルカの《人生は夢》(1635)や《大世界劇》に代表されるように,非常に多くのバロック的要素を含んだ演劇が生まれており,少し前の時代のローペ・デ・ベガも三統一の法則はほとんど守っていない。また,聖体祭に野外の山車(だし)の上で演じられたスペイン独特の宗教劇〈聖餐神秘劇〉(カルデロンはこの劇作の第一人者でもあった)もバロック的な劇形式と言ってよいだろう。 ドイツにはさきのビーダーマンのほかにも,のちに多くのバロック的な劇作家が現れるが,例えば古典の洗礼も受けたA.グリューフィウスの劇は,無常感・恒常への志向,残酷場面の使用などにおいて,バロック的な特色を示している。…

※「聖餐神秘劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」