世界大百科事典(旧版)内の《華道全書》の言及
【花道】より
…芸道における〈道〉の意識の成立は中世以来のものであるが,秘伝奥儀などを習得するための修練を強調する求道的精神から歌道,茶道,香道などと等しく造語されたもの。その初見は1688年(元禄1)刊行の桑原冨春軒の《立華時勢粧(りつかいまようすがた)》に,〈花道を鍛練して〉とか〈花道の奥儀〉〈花道第一の秘儀〉などとして使われ,また編者不明だが,1717年(享保2)刊の立華と生花(いけはな)の書は《華道全書》という題名がつけられている。江戸幕府の教化政策として儒教思想が重視されるようになると,当時のいけばなは道義的意味あいを強め,稽古を通じての礼儀作法を含めて修養の具としての芸事とみなされることになる。…
【抛入】より
…茶の湯の盛行にともない,風情を心得とするいけばなが求められ,なげいれは茶花(ちやばな)とよばれ普及をみた。《華道全書》(1717刊)に〈抛入は茶の湯に用い来れり〉とあり,その事情は知られよう。〈抛入〉の特徴は〈即興の翫物〉〈即座に生けもてなす〉といわれたように,短時間内で即興的にいけ観賞できることである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」