世界大百科事典(旧版)内の表造りの言及
【角屋】より
…角屋は大夫,天神,端(はし),鹿恋(かこい)といった遊女のうち,天神以上の遊女しか呼ばない格の高い揚屋で,建築意匠には,財力をもった町人の贅を尽くしたさまざまな趣向が凝らされている。基本的には通りに面した表棟と前庭,玄関,および奥棟とその北西の座敷棟とからなるいわゆる〈表造り〉に属するが,大小とりまぜ多くの座敷をもっていることなど,一般の京の町屋と異なる点が少なくない。外観は江戸中期以降の家作制限を反映してきわめて質素だが,表棟1階には天井に網代(あじろ)を組んだ28畳敷きの〈網代の間〉,2階には襖に緞子(どんす)を張った23畳敷きの〈緞子の間〉,12畳敷きの〈翠簾口(みすぐち)の間〉,襖に翠簾を描く10畳敷きの〈翠簾の間〉,天井に扇面を散らした21畳敷きの〈扇の間〉,四季の草花の描かれた襖にちなむ6畳敷きの〈草花の間〉などがあり,奥棟の2階には,露台をもち壁,床の間,棚,建具の桟にいたるまで青貝をはめ込んで中国風の趣をたたえた17畳敷きの〈青貝の間〉,天井や障子の腰などに檜垣(ひがき)の意匠を用いた14畳敷きの〈檜垣の間〉,さらに〈囲の間〉〈梅の間〉〈八景の間〉〈孔雀の間〉などがある。…
※「表造り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」