世界大百科事典(旧版)内の裹める鮒の言及
【焼物】より
…平安時代から宮廷の供宴などに多く見られるのは包焼き(裹焼)(つつみやき),別足(べつそく),ぬかご焼きである。包焼きは,《万葉集》に〈裹める鮒(ふな)〉などと見え,濡らした葉などでフナを包んで焼いたとも考えられるが,室町期の《庖丁聞書》や《四条流庖丁書》には,フナの腹に結び昆布,串柿(くしがき),ケシ,クルミ,焼栗などを入れて焼き,あるいは煮るものとしている。古く壬申の乱に際して,大友皇子の妃であった十市皇女が包焼きのフナの腹に密書をしのばせて父大海人皇子(おおあまのみこ)に近江方の謀計を伝え,それによって大海人は難をまぬがれたとする伝承があり,嘉儀(かぎ)の料理とされたようである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」