世界大百科事典(旧版)内の裹焼きの言及
【フナ(鮒)】より
…日本におけるフナの料理としては,包焼きの名がはやく見られる。壬申の乱の際,この包焼きの中に隠した手紙を入手した大海子(おおあま)皇子が大友皇子を破って皇位についたとされ,平安期の大饗の献立に見られる裹焼き(つつみやき)もこれであったと思われる。《四条流庖丁書》(1489)などによると,フナの腹の中に結びコンブ,串柿,クルミ,ケシノミなどを入れ,みそ汁で炒焼き(いりやき)にしたもののようであるが,平安期以前も同じような料理であったかどうかははっきりしない。…
【焼物】より
…魚貝類,鳥獣肉,野菜などを焼く料理。材料を直接火にかざすなど,加熱のための容器をかならずしも必要としない最も原初的,基本的な調理法である。日本では古く〈あぶりもの〉といい,〈炙〉の字を用いた。平安時代から宮廷の供宴などに多く見られるのは包焼き(裹焼)(つつみやき),別足(べつそく),ぬかご焼きである。包焼きは,《万葉集》に〈裹める鮒(ふな)〉などと見え,濡らした葉などでフナを包んで焼いたとも考えられるが,室町期の《庖丁聞書》や《四条流庖丁書》には,フナの腹に結び昆布,串柿(くしがき),ケシ,クルミ,焼栗などを入れて焼き,あるいは煮るものとしている。…
※「裹焼き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」