世界大百科事典(旧版)内の要物性の言及
【天引き】より
…たとえば,元本10万円,年18%の天引利息で貸すと,利息1万8000円を控除した額8万2000円を交付し,期限に10万円を返還させる方法である。法律上,従来,天引きに関する定めがなく,消費貸借の要物性(契約成立のためには,当事者の合意のほかに,現実に物の引渡しなどを要すること)および利息制限法に関連して疑義があった。判例は,天引利息が利息制限法の制限内利率であれば,後払利息の場合と同様に,借主に〈現金授受と同一経済上の利益〉を与えるから,約定元本額について消費貸借が成立するものとし,他方,制限を超過する場合には,現金授受と同一経済上の利益を与えるものではないから,超過部分について消費貸借は成立しないとした。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」