《見世物雑志》(読み)みせものざっし

世界大百科事典(旧版)内の《見世物雑志》の言及

【見世物】より


【その記録と研究】
 見世物は庶民の身近な娯楽であったが,いわば〈芸術〉として認められなかったので,その記録は町の好事家(こうずか)の随筆などに散見するにすぎない。日本で最初のまとまった見世物の記録は,幕末名古屋の随筆家小寺玉晁(こでらぎよくちよう)(1800‐78)の《見世物雑志(ざつし)》5巻(1818‐42年の記録)で,次いで,小寺の記録を踏まえつつ,さらに捜索の資料を加えて分類の体系を与えようとした,大正期の朝倉無声(むせい)(1877‐1927。本名亀三)の《見世物研究》(1928刊)があるのみである。…

【寄席】より

… そのほか,京都,神戸,名古屋にも古くからの寄席興行の歴史があり,江戸時代から多数の寄席芸人が出演した記録がある。
[寄席演芸の種類]
 寄席に関する種々の記録のなかで,尾張藩士小寺玉晁が書き残した《見世物雑志》は,1818年(文政1)から1842年(天保13)までの名古屋における寄席興行を記録した貴重な研究資料である。この書には,軽口噺,釣人形,軽業(かるわざ),咄,見世物,物真似(ものまね),講釈,籠細工,浄瑠璃,鳥の鳴き声物真似,長崎蛇踊り,小芝居,竹田からくり,説経,落とし噺,こままわし,力持ち,住吉踊り,ビイドロ船,あやつり,辻能,影絵,ちょんがれ,曲文字書き,新内など,江戸時代における寄席演芸のすべてが網羅されている。…

※「《見世物雑志》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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