世界大百科事典(旧版)内の豊穣儀礼の言及
【農耕儀礼】より
…古代エジプト神話には,穀神オシリスは弟のセトに殺されて身体を寸断されるが,妻の大地母神イシスは,彼の死体を探し求めて,よみがえらせると伝えられているように,穀神オシリスは毎年,大地にまかれ,新しい生命としてよみがえって実を結ぶ穀物のシンボルであった。
[ヨーロッパ]
ヨーロッパ農民の間では,麦が擬人化され,麦霊の死と再生を象徴した豊穣儀礼が行われている。麦の収穫が終わると,最後に刈り取られた麦束は〈麦のおばあさん〉とか〈麦のお母さん〉などとよばれ,そのなかに麦霊とみたてられた人間を包み込み,その首を鎌ではねるような動作をして麦霊の再生を促したり,あるいは,最後の麦束で人形をつくり,これに少女の着物を着せ,〈穀物の女王〉とよんで村中をかつぎまわって川に投げ込んだりするように,最後の麦束には,豊穣をもたらす呪術的な力が込められていると信じられている。…
※「豊穣儀礼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」