世界大百科事典(旧版)内の《資本制生産に先行する諸形態》の言及
【アジア的生産様式】より
…その中でアジア的生産様式を原始共同体とするもの,古代奴隷制や封建制のアジア的変種とするもの,アジア地域にのみみられる特殊な社会とするものなどさまざまな見解が現れたが,古代奴隷制的生産様式の一類型とみるP.B.ストルーベらの説が有力となった。その後,戦時中にマルクスの草稿《経済学批判要綱》の一部《資本制生産に先行する諸形態Formen,die der kapitalistischen Produktion vorhergehn》が発見され,その中で東洋の総体的奴隷制といわれているものこそアジア的生産様式であり,それは古代奴隷制の一類型だとする渡部義通,石母田正,藤間生大らの見解が日本で通説となった。さらに,1964年以降,論争は国際的規模で再開された。…
【共同体】より
…定着経済がはじまると定着のされ方に応じて社会(共同体)のあり方はさまざまな形態をとる。マルクスの《資本制生産に先行する諸形態》(1857‐58執筆)は1953年に公表,刊行されて以来,そこに述べられた共同体の諸形態が,文化人類学的な共同体の諸タイプではなく,文明以後の人類史の段階的諸時代をそれぞれ規定する展望をきりひらく内容をもっていたため,歴史理論に大きな影響を与えた。それらはいずれも経済的再生産を行う個々の共同体のみならず,政治的上部構造をふくんだ社会全体の抽象物でもある。…
※「《資本制生産に先行する諸形態》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」