超越論的主観性(読み)ちょうえつろんてきしゅかんせい

世界大百科事典(旧版)内の超越論的主観性の言及

【西洋哲学】より

…デカルトのもとで事実上成立していたこの〈主観‐客観〉関係を明確に概念化してみせたのがカントなのである。この認識主観はカントによって〈超越論的主観性〉と呼ばれることになるが,それはこの主観がいっさいの存在者の存在,つまり〈世界〉の存在を基礎づける形而上学的(超自然的)原理であり,それゆえそれ自身は世界(自然)を超越しているからである。 ところで,カントにあっては主観の定立作用は〈直観〉にもとづく認識に限られていたから〈主観‐客観〉という訳語も適切であったが,カント以後のドイツ観念論の展開のなかで,その定立作用は行為的実践や労働にまで広げられることになり,もはや静観的な〈主観〉という訳語ではその働きをおおいきれなくなって,〈主体‐客体〉という訳語がつくられねばならなかった。…

【フッサール】より

…しかしそれにしても,世界はもとより各事物も個々の主観に対してのみ存在しているのではない。それゆえ超越論的主観性は究極的には間主観性であるとされ,そしてこのことと関連して他我認識の方法が,意識主観の身体性や歴史性の問題と絡めて考察される。これらの諸問題に加えて,後期のフッサールは諸科学の成立基盤としての〈生活世界〉の問題をも主題化して,科学的認識の成立過程をいっそう具体的に解明しようとした。…

※「超越論的主観性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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