世界大百科事典(旧版)内の距離制限の言及
【職業選択の自由】より
…第3は,事業の公益性(郵便事業,電信電話事業など)や国の財政目的(たばこ専売など)を理由として,ある種の職業が国によって独占される場合があることである。このような職業選択の自由の制限が憲法22条に違反するか否かが争われた裁判のなかで,最高裁判所は,まず,公衆浴場の許可基準としての浴場相互間の距離制限を合憲とし(1955年の判決),ついで,小売商業調整特別措置法に基づく小売市場の許可基準としての距離制限を合憲としたが(1972年の判決),薬事法による薬局の許可基準としての距離制限を違憲と判断した(1975年の判決)。判例の立場は,職業選択の自由に対する法的規制について,中小企業の保護を目的とするなどの積極的政策的規制(小売市場の距離制限の場合)と,国民の健康など社会公共に対する弊害を防止するための消極的警察的規制を区別し,前者については規制の目的および手段に対する立法府の広範な裁量権を認めて合憲とし,後者については必要かつ合理的な規制しか許されないから違憲と判断したのである。…
※「距離制限」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」