農民大学運動(読み)のうみんだいがくうんどう

世界大百科事典(旧版)内の農民大学運動の言及

【大学拡張】より

…アメリカで発展をみたコミュニティ・カレッジでは,市民参加の設立と運営によって実生活と結合した教育内容がつくり出されている。日本でも1960年代以降の農民大学運動にみられる農民の学習要求の高まりが,例えば岩手大学農学部の特別入学枠をもつ営農技術学科構想をよび起こすなど,大学拡張が大学じたいを国民化の方向へ発展させていく可能性を生み出している。現在,いくつかの国立大学の開放センターの活動や,地方公立大学の地域課題と結合した学習内容編成の模索,あるいは公民館と住民と大学の結合による市民大学講座のこころみなどがあるが,これとは別に新たに発足した放送大学に加えて,今後も急激な社会変化の下での不断の情報摂取と活用の必要から,教育情報産業の発達に合わせた多様な形態での高等教育の機会提供がはかられるであろう。…

【農村教育】より

…しかし,学校教育においては,高度経済成長下の農業教育軽視と受験競争の激化のもとで,その地位は低められ,青年団や婦人会あるいは公民館を拠点として広範な広がりを見せた生産技術の向上や生活合理化をめざす学習も,日本社会全体の急激な都市化・工業化による農村社会の急激な変化の下で停滞を余儀なくされている。 しかし1960年代に信濃生産大学をはじめ各地に組織された農民大学運動は,生産技術,経営,流通,価格,農政の各領域にわたる高い水準の学習活動を農業生産の実際の経験に根ざして展開し,農業の自立的発展の方向を,日本の経済,政治,文化,教育のあり方とかかわらせて問い,本格的な農業教育を農民の自己教育運動として発展させた。農村社会の著しい変容にともない,農村教育全体の再編成には困難な課題が多いが,日本経済の自立的発展にかかわる食糧自給率の向上や価格・流通の合理化,安全で健康な食生活の確保など,今後の農村教育は広い視野をもつ農業問題教育として展望される必要がある。…

※「農民大学運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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