世界大百科事典(旧版)内の近代資本主義の言及
【近代世界システム論】より
…このような見方は,フランスの歴史家F.ブローデルの〈経済世界〉という概念や,第三世界史におけるA.G.フランクやS.アミンら〈従属〉派(従属論)の発想が前提になっている。すべての国や地域が,大きなタイム・ラグを含みつつ,いずれは封建社会から近代資本主義社会へ移行していく,とする単一の発展段階論を前提とする一国史観とは逆に,大航海時代以後の世界は,銀などの貨幣素材,砂糖,茶,ゴム,石油などの換金作物・製品などの大規模な分業システムとして成立している。システムの内部は,自由な賃金労働を主体とする〈中核〉地域と,歴史的にいえば何らかの〈強制〉労働が中心となった〈周辺〉,およびその中間としての〈半周辺〉などに機能分化している。…
【資本主義】より
…資本主義経済および資本主義社会というのは,このように資本主義の活動が経済の全体において支配的になった経済および社会のことをいう。近代以後の資本主義を古代や中世の資本主義と区別してとくに近代資本主義とよぶことがあるが,むしろ一般に資本主義というと,この近代以後の資本主義のことをさしている。
[資本主義と市場経済]
資本主義経済においては,生産活動も生産の必要そのもののためになされるのではなく,利潤の獲得のためになされる。…
【ゾンバルト】より
…それよりも,彼の本領は,理解社会学的方法(理解には合理的なものと感情移入的な追体験によってなされるものがあり,人間を対象とする科学では,後者がもっぱら個別的な解明をもたらすという考え)を駆使して,〈経済体制〉としての資本主義の具体的・包括的把握を試みた点にある。資本主義を初期,高度,後期の3段階に分類し,それぞれについて,(1)企業家とその精神,(2)政治組織としての国家,(3)技術と知識の3側面からアプローチした《近代資本主義》全3巻(1902‐28)は,M.ウェーバーの著作と並び,資本主義の体系的理解に大きく寄与した。【高橋 徹】。…
※「近代資本主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」