世界大百科事典(旧版)内の金箔押しの言及
【製本】より
… 14~15世紀にかけて製紙術が普及し,15世紀中葉の活版印刷術の発明により,本が安価に製作できるようになったために,出版活動も本格化し,製本も従来の〈個人製本private binding〉(印刷された枚葉紙を買って自分で,あるいはおかかえ製本師により製本する)に加えて,出版所で製本してから本として売られる〈出版所製本edition binding,publishers’ binding〉があらわれたが,それが主流になるのはなお数世紀後であった。また15世紀ころには,サラセンを通じて,金箔押しgold tooling装丁がヨーロッパに紹介され,イギリス,フランス,スウェーデン,ノルウェーなどでは,王族はじめ上流社会に装丁趣味が流行し,王室専属の製本師が任命され,王侯貴族のなかにはみずから表紙の意匠図案をくふうし,表紙に用いる刺繡をする貴族夫人もあらわれた。製本用の専門クロスは,19世紀の初めイギリスで発明された。…
【装丁(装幀)】より
…表紙装飾は,所有者の地位や富や趣味の良さを誇示するためにくふうを凝らしたものになる。精巧な模様の金箔押しや,別色の革をはめこむモザイクの技法など,現代の製本工芸にみられる技術の基本は,ほとんどすべてこの時代に出つくしたといってよい。金箔押しの技法は,イスラムの世界からイタリアに入り,東西文明の合流点であったベネチアを中心としてめざましい発達をとげた後,ヨーロッパ各国に伝えられる。…
※「金箔押し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」