長期増強(読み)ちょうきぞうきょう

世界大百科事典(旧版)内の長期増強の言及

【神経生理】より

…特に側頭葉内側部の海馬では,入力部に加えられた一過性の高頻度刺激によりその後に生じるシナプス電位の大きさが増大し,これが長期間(数時間から数日)にわたって持続する現象が観察されている。これは長期増強long-term potentiation(LTP)と呼ばれ,シナプスにおける情報伝達効率の長期にわたる増加と考えられている。海馬が記憶形成に関係する部位であることから,シナプス電位の長期増強は記憶のしくみを神経細胞のレベルで理解できる可能性のある現象として幅広く研究されている。…

【練習】より


[練習の神経機構]
 練習が果たす学習の役割のメカニズムについては,必ずしも明確とはいいがたいが,脳内の神経細胞と神経細胞の接続部シナプスに,ある持続的な変化が生じていることが推測されている。たとえば,あるシナプスを繰り返し信号が通過すると,そのシナプスの信号の通過が一時期よくなる現象がよく知られており,とくにその効果が長く続くものをシナプス伝達の長期増強と呼ぶ。学習のときの練習の効果が,この長期増強という形で保持されるのではないかと考えられている。…

※「長期増強」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」