世界大百科事典(旧版)内の隆能源氏の言及
【源氏物語絵巻】より
…画面の緻密に計算された有機的構図が各場面の詩的な情趣を象徴的に表現するとともに,引目鉤鼻(ひきめかぎばな)と呼ばれる類型化した面貌描写も,実際には細緊な筆線を引き重ねることによって人物の微妙な心理を表出しえている。絵の作者は12世紀中期に活躍した宮廷画家藤原隆能(たかよし)と伝えられ,この絵巻も隆能源氏として親しまれてきた。しかし,詞書の書風が4~5種に分かれているように,画風も表現技法の点から,〈柏木〉から〈御法〉までの1巻を頂点として大きく4グループほどに分類され,おそらく12世紀前半,白河・鳥羽の院政期に優れた宮廷画家たちを中心に分担制作されたものと思われる。…
※「隆能源氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」