世界大百科事典(旧版)内の隠居屋の言及
【隠居】より
…隠居はかならずしも過去の家族制度ではなく,現在も行われている家族制度でもある。たとえば,家族の居住関係にのみ限定すれば,滋賀県のある地域で,隠居屋の建築が近年の流行となったり,また都市周辺に見られる新婚者の屋敷内別棟居住形態も一種の隠居の再生産といえよう。 日本各地で行われている隠居は大別して親別居型と嗣子別居型に分けることができる。…
【屋敷】より
…屋敷を名請けした百姓が役人,役家,役儀之家,公事屋(くじや)などと呼ばれて夫役負担者とされ,弱小農民は田畠だけを名請けして屋敷の登録をうけず,夫役の負担をまぬがれていた。 検地帳に登録された屋敷は,その多くが屋敷囲いの内部に母屋(おもや)とともに小屋,門屋(かどや),隠居屋などを備え,小屋,門屋,隠居屋には主家の庇護・支配を受ける弱小農民(自立過程の小農)が起居し,母屋には主家が住いした。小屋住み,門屋住い,隠居身分などの弱小農民が家族をもち,その生計が主家のそれから一応独立分離している場合でも,家数人馬改帳(いえかずじんばあらためちよう)(夫役徴集の基礎帳簿)では,1屋敷の内部の生活は1竈(かまど)として把握され,屋敷囲いの内に住む弱小農民の家族は主家の家族に含まれるものとして主家に一括された。…
※「隠居屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」