世界大百科事典(旧版)内の集団運動模型の言及
【原子核】より
… 重い原子核の中には,分子のもつ回転準位と非常によく似たエネルギー準位構造をもつものが数多くあることがわかり,その電磁的遷移の特徴とも結びつけて,回転楕円体に変形した原子核が回転するという描像がA.ボーア,B.モッテルソン,J.レインウォーターによって提案された。この模型を中心に,原子核を構成する核子が,ばらばらにではなくある規則性をもって集団的に運動するとする集団運動模型が発展し,原子核の表面振動や光吸収の巨大共鳴として発見された双極子振動などにも応用されて成功を納めた。さらに比較的重い原子核の結合エネルギーやエネルギー準位の分析から,原子核が超流動体と類似の性質をもつことも指摘され,上で述べた独立粒子運動および変形した原子核の回転という描像とあいまって,広い領域の原子核の性質が系統的に記述できるようになった。…
【原子核模型】より
…原子核はほぼ陽子と中性子(総称して核子という)からできているが,原子核模型は,この核子間の相関の考え方から集団(運動)模型,独立粒子模型,クラスター模型に分類できる。 集団運動模型は核子間には強い相関があるとする立場に基づくもので,これには液滴模型,変形核模型などがある。前者は原子核の質量や体積が構成核子の数に比例し,また核子間に働く核力が短距離力であり飽和性をもつことなど,その性質が液体と似ていることから原子核を液滴で近似して取り扱うもので,N.ボーアらは,この模型を用いてウランなど重い原子核の核分裂を説明した。…
※「集団運動模型」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」