世界大百科事典(旧版)内の雑密の言及
【密教】より
…さらにその女性原理的霊力の顕現である大母神ないしその下位の多種多様な神格の崇拝に,先住民的ヨーガの実修をも併せ,これら多様な土俗的要素を包摂した原インド的実体を有している。 歴史的には雑密(ぞうみつ),純密,タントラ仏教という過程をとって展開する。第1の雑密とは,世界の女性原理的霊力をそれと同置された呪文,術語でいう真言(しんごん)(マントラ),明呪(みようじゆ)(ビディヤーvidyā),陀羅尼(だらに)(ダーラニー)等の誦持によってコントロールし,各種の目的(治痛,息災,財福の獲得など)を達しようとするものである。…
【密教美術】より
…一方,南インドの金剛智(こんごうち)は若き不空を伴い,南海経由で,720年長安に至り密教を伝えた(南伝)。 歴史的には大日如来出現以前を雑密(ぞうみつ)といい,これを初期とし,大日出現以降(純密),8世紀中ごろまでを中期とし,それ以後密教滅亡(1203)までを後期と分けるが,初・中期の密教の美術は,インド,チベットにはほとんど遺存せず,現存するのは後期密教の美術にすぎない。また中国には漢訳経典があり,文献的にはかなりその様相をとらえられるが,遺品は廃仏等のためわずかに存するだけである。…
※「雑密」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」