雪隠参り(読み)せっちんまいり

世界大百科事典(旧版)内の雪隠参りの言及

【厠神】より

…注目されるのは,飛驒地方で厠神の手伝いがないと出産が軽くないとか,壱岐島で産神は厠神と箒神だといわれるように,出産と深い関係がある神であり,厠を掃除すると産が軽いとか,きれいな子が生まれるという地方は多い。出産後3日目に〈雪隠(せつちん)参り〉といって生児が産婆に抱かれて厠神に参る風も東日本を中心に見られる。また厠で唾を吐くものでないという禁忌も広く行われ,犯せば厠神が怒って目や歯にたたるという場合が多い。…

【七夜】より

…生後7日目の祝い。出産儀礼のうち最も重要なものの一つで,産婆,近親者などを招いて小宴をはり,贈答がなされる。七夜に行われる行事は地方によっていろいろで,この日に生児の命名(名付け)を行い,ナビラキの祝をする地方は多い。現在も生児の命名は七夜までに行われている。またヒトウブヤ,オヤノイワイ,枕下げなどといって,産婦の忌明けの祝を主としているところも多い。産婦の忌の晴れていく最初の段階であって,父親の忌は一般にこの日で明けるとされている。…

【出産】より

…出産に伴う儀礼は初宮参りまでに集中しているが,七夜の祝いはたいせつなものの一つである。この日,名付けとともに初外出として,関東・中部地方では雪隠(せつちん)参りといって,厠神に参る風がある。生児の生命がきわめて不安定な状態にある期間は,出生後から初誕生までの1年間と考えられ,この間に最も多くの呪術的儀礼が集中している。…

【鉈】より

…鉈は年末に他の農具とともに飾って供物をし,正月の仕事始めに〈鉈起し〉といって使い初めをしたり,また鍛冶屋では剣,鎌,鉈の模型を作り水の字形に並べて神に供える。鉈は正月の成木責めや墓穴の魔除けにも使われ,新潟では新生児の雪隠(せつちん)参りの際に男児は鉈,女児は杓子を腰にさしたという。鉈は伊豆の大島で大切な嫁入り道具の一つとされたように,主要な農具であったから,北九州の農家では12月13日の下男下女の出替り日を〈鉈ナゲ〉と称していた。…

【便所】より

…便所の落し紙も新しく,農家では大正ころまで木の葉やわらのほかチュウギ,コキ箸とよぶ木片や箸が用いられていた。便所は御不浄の語が示すように一般に汚い場所とみられているが,便所には厠神がまつられるほか,生児が生後3日めに〈雪隠参り〉をしたり,便所で年取りの儀礼を行う地方もある。また便所に落ちると改名する習俗や,妊婦が便所をきれいに掃除すると安産するとか,きれいな子どもが生まれるという俗信も広く行われている。…

※「雪隠参り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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