世界大百科事典(旧版)内のallgemeinesPriestertumの言及
【宗教改革】より
… 《ドイツ国民のキリスト教貴族に与う》は,ルターが初めてドイツ人としての国民意識に立って,ローマ教皇勢力によるあくどい財政的収奪や,聖職売買,そのほか国民生活を圧迫し正しい信仰をそこなうさまざまな悪弊を列挙し,教会当局者が無能を暴露している現在,統治権力を神にゆだねられた貴族(実際には領邦君主たるドイツ諸侯)に,教会生活全般の改革をたすけるよう呼びかけたものである。そこにはまた,聖職者の独身制や,一般に特権的な身分としての聖職者の否定,つまり,いわゆる〈万人祭司主義allgemeines Priestertum〉の理念が,聖書にもとづいて展開されているが,プロテスタント教会のありかたを深く規定したこの根本理念は,《キリスト者の自由》においても,〈信仰義認論〉をふまえつつ,改めて強くうち出された。ルターにとって〈自由〉とは,律法の前で露呈される罪からの解放,キリストの福音への信仰のみによって神の前に義とされた,キリスト者の霊的・内的な自由のことであり,かかるキリスト者は,肉的・外的存在としては,自由な魂の喜びにあふれて,隣人への奉仕に身をささげる神の僕だと説いたのである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」