世界大百科事典(旧版)内のBenco,S.の言及
【トリエステ】より
… 無意識と分裂する意識とを最初に小説作品に組み入れたイータロ・ズベーボ(筆名でイタリアとスワビアの人を意味する)が英語の家庭教師であったJ.ジョイスと親しく交わり,汎ヨーロッパ文学をめざしたのに引き換え,トリエステの中心街で古本屋を営んだ詩人サーバはあくまでもトリエステに拠ってその風土を描きつづけた。このサーバの系列に属する,トリエステ地方主義の文学者たちは,ベンコSilvio Benco(1874‐1949)を旗頭としてイレデンティズモ(未回収地回復運動)をめぐり,愛国主義精神を作品の基調にした。ズラタペルScipio Slataper(1888‐1915),ストゥパリヒ兄弟Giani Stuparich(1894‐1961),Carlo S.(1894‐1916)などは,第1次大戦時に志願兵として対オーストリア戦線に参加し,トリエステ後背地の守備にあたり,うち2人は戦死もしくは捕虜になるまえに自殺したが,戦時下の緊迫した精神の日記や断想を書き残しイタリアの文学界に衝撃を与えた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」