世界大百科事典(旧版)内のBethe,H.A.の言及
【宇宙】より
…20世紀に入ると量子力学と相対性理論の二つの新しい物理学が興り,量子力学は天体からの光を解明する理論的手段を与え,1920年代から本格的な天体物理学が進展し,観測の発展と相まって太陽や恒星,星間物質や星間雲,星団や星雲に関する本質的な知識が得られるようになった。また原子核やその反応についての実験や量子力学的研究が進んだ結果,ベーテH.A.Bethe(1906‐ )とワイツゼッカーC.F.von Weizsäcker(1912‐ )により恒星中心部における原子核反応が具体的に明らかにされ(1938‐39),太陽をはじめとする恒星のエネルギー源を説明するとともに,恒星進化および宇宙の物質進化の研究が可能になった。50年代からは星団の精密観測と低エネルギーでの原子核実験を背景に,コンピューターを利用した恒星進化の研究が進み,元素の起源や宇宙の物質進化などを通して宇宙論の研究にも大きく寄与することになった。…
【化学】より
…これに対し,静電的な取扱いは金属塩類とくに金属錯体中心の配位結合の理解に必要であった。1929年ベーテHans Albrecht Bethe(1906‐ )は結晶場理論を提案したが,現在これは配位子場理論として広く用いられている。反応速度論の進歩も目ざましかった。…
【恒星内部構造論】より
…しかし星の光のエネルギー源は何であるかがわかったのは,30年代に入って原子核の物理が一応明らかになってからである。すなわち,38‐39年になって,ベーテH.A.BetheやワイツゼッカーC.F.von Weizsäckerは,主系列星という大多数の星(太陽もその一つ)の内部にある1000万Kという高温の下では,水素がヘリウムに転換される原子核反応が起こっており,それが星の放射するエネルギーを供給していることを定量的に示したのである。その後,主系列星だけでなく,地球の公転軌道の大きさほどにまで膨れ上がった赤色巨星の内部構造や,逆に太陽ほどの質量があるにもかかわらず地球くらいの大きさしかない白色矮星(わいせい)や,地上の山ほどの大きさしかない中性子星の内部構造,さらに,どこまでも崩壊していくブラックホールのまわりの空間の構造なども解明された。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」