世界大百科事典(旧版)内のhortusconclususの言及
【庭園】より
…当時の庭は,のちのルネサンス庭園のような変化に富んだ空間構成よりは,いかなる植物を集めるかに重点が置かれていたように思われる。またこうした中世の庭のようすは,〈ホルトゥス・コンクルススhortus conclusus〉(〈鎖(とざ)されし園〉の意)と呼びならわされる,楽園に座すマリアを描いた宗教画などにもうかがうことができる。回廊が方形の庭を囲い込む修道院の中庭形式も,この時代に完成したもので,これは中央に噴泉や雨水溜,井戸(あるいは宇宙軸,生命の樹の観念にもつながる象徴的な樹木)を配して,天上の楽園の観念的な表現ともなるものであった。…
【楽園】より
…理想的な地形を壁や塀で囲い込み,その内部に水を配し,果樹や花を植えるという西欧庭園の基本構造は,そのまま楽園の基本構造ともいえるのである。またこの種の〈囲われた庭(ホルトゥス・コンクルススhortus conclusus)〉が,〈悦楽の園(ホルトゥス・デリキアルムhortus deliciarum)〉としてしばしば男女の愛欲の場面として空想されたり,実際に利用されたのも,庭園が楽園であることを裏書きしているだろう。アラビア風庭園がナツメヤシなどに縁どられた池や噴水を豊かに配置するのは,その地域の文化にとって楽園の原型がオアシスであったからにほかならない。…
※「hortusconclusus」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」