世界大百科事典(旧版)内のQ教団の言及
【原始キリスト教】より
…このような福音宣教の経過は,大筋において史実に合致するが,エルサレムからローマへというキリスト教の直線的展開の描写には,〈エルサレム中心主義〉に傾くルカの傾向が強く出ていて,必ずしも史実と一致しない。エルサレム以外の地,たとえばガリラヤの周辺にもキリスト教共同体が成立していたこと,またパウロとは独立にエルサレムからユダヤ主義に傾くキリスト者がガラテヤ,ピリピ(フィリッピ),コリント(コリントス)の諸教会に〈異なる福音〉をもたらし来たこと,またイエスの言葉伝承を担った人々がパレスティナからシリアに入り,その一部が共同体(いわゆる〈Q教団〉)を形成したことなどが,パウロの手紙や福音書から想定できるし,ローマのみならずアレクサンドリアにもペテロやパウロとは独立に教会が設立されていることも,《使徒行伝》から推定できる。 原始教会の信仰内容は,パウロの手紙や福音書に前提されている諸伝承から,次の二つに大別できる。…
※「Q教団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」