世界大百科事典(旧版)内のRagaz,L.の言及
【キリスト教社会主義】より
…これらのキリスト教社会主義と呼ばれるものは,政治的には左傾化を排しほぼ社会民主主義の線で行動するのであるが,社会の教会化なり素朴な人道主義を動機とするにとどまって,福音理解の革新にまでは至らない。その点で,ラガーツL.Ragaz,クッターH.Kutter,初期のK.バルトの宗教社会主義は,マルクスが示す疎外の問題を神学の根本問題としてとらえ,教会の終末論的性格の自覚から近代批判と資本主義批判とを行っていることは注目される。【泉 治典】。…
【弁証法神学】より
…〈危機神学Theologie der Krisis〉とも呼ばれる。この運動の中心人物であったK.バルトは,ブルムハルト父子の影響をうけたクッターH.Kutter(1863‐1931)とラガーツL.Ragaz(1868‐1945)とともに宗教社会主義運動に加わっていたが,《ローマ人への手紙》(第2版,1922)においてキルケゴールのいう〈神と人間との絶対の質的差異〉をモットーとし,ドストエフスキーやニーチェからも時代の本質的な危機を学んで,19世紀の文化的キリスト教を激しく非難し,キリスト教の終末論的本質と教会の罪とを明らかにした。また当時発見されたルターの《ローマ人への手紙講義》に学び,信仰の矛盾にみちた逆説性と神の言葉の破壊と建設の力を強調したことからして,〈弁証法神学〉の名がこれに帰せられた。…
※「Ragaz,L.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」