世界大百科事典(旧版)内のtapantaの言及
【西洋哲学】より
…ギリシアも古典時代になると,フュシスは〈フュシス‐ノモス(人為的な定めごと)〉〈フュシス‐テクネ(技術)〉といった対概念の一方の項として,人為的な制度や技術による制作物と対置される存在者の特定領域,いわゆる物質的自然を意味するようになる。 しかしもっと古い時代には〈フュシス〉は〈タ・パンタta panta(万物)〉という言葉とほとんど同義に使われ,神々や人間やポリス(都市国家)や人為的なもののいっさいを包摂する〈存在者の全体〉を意味すると同時に,そうしたすべての存在者の〈真の在り方〉をも意味していた(物ごとの真の在り方というフュシスのこの古義は,たとえば英語のnatureにも,物ごとの〈本性〉という意味で残響している)。ソクラテス以前の思想家たちは,“フュシスについて”思索しつつ,ありとしあらゆるものをあらしめているその〈真の在り方〉,すべての存在者を存在者たらしめている〈存在〉とは何かを問おうとしていたのである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」