世界大百科事典(旧版)内のtranszendentalesSubjektの言及
【認識論】より
… カント認識論の立場は超越論的観念論あるいは超越論的主観主義と呼ばれている。彼の考えかたでは,科学的認識の対象である自然の基本構造は主観の形式によって,すなわち感性や悟性の形式(時間・空間,カテゴリーなど)によって決定されているが,この主観は個人的・経験的な意識主体ではなく,経験的自我の根底に向かう哲学的反省によってはじめて明らかになる意識の本質構造であり,意識一般とも呼ぶべき超越論的主観transzendentales Subjektである。認識問題をもっぱら主観‐客観の関係から考察する近代の哲学的思考法をほぼ定着させたという点でも,カントが認識論の歴史に残した足跡は大きい。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」