世界大百科事典(旧版)内のWent,F.W.の言及
【オーキシン】より
…19世紀後半から20世紀初めにかけての研究により,光を植物の生長点にあてると,光の方向に植物が生長する現象,すなわち屈光性は,光の刺激を受けた頂端部から,その下部にある生長域へある種の物質が移動することによって刺激が伝達されて起こると考えられていた。1928年ウェントFrits W.Wentは,マカラスムギ(エンバク)Avena sativa L.の幼葉鞘(ようしよう)の先端を切断し,その先端部を寒天の細片上にのせ,しばらく放置したのち寒天片を,先端を切断した葉鞘の一側面に付着させると,幼葉鞘は寒天をのせた側と反対の方向に屈曲することを見いだした。この事実は,マカラスムギの先端部である種の生長促進物質が作られ,これが寒天中に拡散したことを示す。…
【屈性】より
…屈光性の存在は,すでに1880年にC.ダーウィンがイネの子葉鞘(しようしよう)での観察にもとづいて指摘している。ウェントF.W.Wentは,アベナの子葉鞘の先端部で形成されたオーキシンが基部へ輸送される途中で片面を照射すると,光側のオーキシンの流れが影側へとそらされ,その結果として影側でのオーキシン濃度が増加し光側で減少することを明らかにした(1928)。他方,オーキシンの分布は重力によっても影響されるという考えがコロドニーN.Cholodnyによってすでに指摘されていた(1924)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」