世界大百科事典(旧版)内のZelter,C.F.の言及
【歌曲】より
…ようやく18世紀の末から歌曲は再び興隆期に入るが,新しい発展の要因となったのは,第1にバロック時代の道徳的傾向から転じて新しい自然と人生の観照に向かった抒情詩の発展,第2に心理的描写や叙景の機能を担って声を支えるピアノという楽器の登場,第3には市民社会の勃興に伴うサロンの芸術への要求であった。ライヒャルトJohann Friedrich Reichardt(1752‐1814)やツェルターCarl Friedrich Zelter(1758‐1832)を先駆者として,シューベルト,R.シューマン,ブラームス,H.ウォルフにいたる19世紀ロマン派のリートのめざましい発展は,この流れに沿うものである。 これらのロマン派リートの作曲家たちが好んで取り上げた詩人の中ではゲーテが首位に立ち,ハイネやメーリケがそれに続いている。…
【合唱】より
…アマチュアの合唱団が誕生し,そのためにやさしくしかもすぐれた合唱曲が少なからず作曲された。ドイツの作曲家・教育者であるツェルターCarl Friedrich Zelter(1758‐1832)によって1809年ベルリンに結成された男性合唱団リーダーターフェルBerliner Liedertafel,フランスの音楽教育家ビレムGuillaume Louis Wilhem(1781‐1842)がパリに創立した男性合唱協会オルフェオンOrphéon,イギリスに結成されたグリー・クラブなどが今日の合唱音楽にもたらした役割は大きい。日本では明治の中ごろに関西学院大学と同志社大学にグリー・クラブが誕生し,1902年に慶応義塾大学ワグネルソサエティが結成され,おもに大学合唱団が中心になっていたが,29年に創立された東京マドリガル会などをはじめ,同好の士による合唱団が生まれている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」