世界大百科事典(旧版)内のZeune,J.A.の言及
【バルカン】より
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【呼称とその範囲】
現在われわれがバルカン半島と呼んでいる半島は,古来ギリシア人の半島,ビザンティン半島,イリュリア人の半島などと呼ばれ,第1次世界大戦前には,〈ヨーロッパ・トルコ(オスマン・トルコのヨーロッパ部分)〉として一般に知られていた。バルカンという名称は,1808年にドイツの地理学者ツォイネJohann August Zeune(1778‐1843)によって初めて命名されたといわれているが,近代地理学の創始者A.vonフンボルトの学説にしたがい,できるだけ政治色をもたない地名設定の方法が科学的であると考えたツォイネは,現在のスターラ・プラニナ山脈(バルカン山脈)が現地住民のあいだでバルカンと呼ばれていたところから,そのように命名したのである。のちにこのバルカンという呼名が実はトルコ語の普通名詞で〈山〉を意味することが明らかになり,ツォイネの命名にはいくたの批判が加えられ,19世紀中葉にはバルカン半島を南東ヨーロッパ半島と命名すべきだと説くドイツ人地理学者も現れたが,19世紀末ころからしだいにバルカンという名称が市民権を得るにいたった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」