中日辞典 第3版の解説
[少知識]象声词
❶ “象声词”について
“象声词”(“拟声词”とも)とは,物音や人間・動物の声などを言語音に模倣して漢字で表記した語をさし,日本語でいえば「擬声語」のことである.
“象声词”は,その形容するものによって大きく次のように分けることができる.
[雷の音]轰,轰隆隆,咕隆隆;((落雷は))嘎啦
[雨の音]哗,滴滴答答
[風の音]呼,飕飕 [鐘の音]当
[ベルの音]嘀铃铃,丁零零
[砲声]轰,轰隆
[銃声]((単発音は))砰,嘭,嘡;((連発音は))哒哒哒;((散発音は))乒乒乓乓
[足音]欻欻,咚咚,噔噔,啪嗒啪嗒
[太鼓の音]咚咚 [どらの音]嘡,锵
[ぶつかったり当たったりする音]((大きな音は))嘣,咚,咣,当,哐,啪,乓,嘭,丁当,丁冬,当啷,咣当,咣啷,哐当,哐啷,嘡啷,丁零当郎,乒里乓啷,唏哩哗啦;((小さな音は))咔,喀哒,吧嗒,啪嗒,嘁嘁喳喳,嘁哩喀喳
[折れる音]吧,嘎巴,喀吧,劈啪
[きしむ音]嘎,嘎吱,咯吱,叽叽嘎嘎,叽吱咯吱
[液体から出る音]吧唧,咕嘟,噗唧,哗啦,扑通
[気体から出る音]刺,哧,嗖,兹,扑哧
[笑い声]哈哈,嘎嘎,咯咯,呵呵,嘿嘿,扑哧;((にこにこ笑うさまは))嘻嘻
[泣き声]哇,哇哇,呜呜;((赤ん坊は))呱呱
[話し声]叽叽嘎嘎,叽叽喳喳,叽里咕噜,叽里呱啦,嘁嘁喳喳,哇啦哇啦,呜噜呜噜
[叫び声]嗷嗷,𫪘
[くしゃみ]阿嚏
[せき]喀
[いびき]呼呼,呼噜呼噜
[ネコ]喵;((子ネコは))咪咪 [ヒツジ]咩 [ウシ]哞,闷儿 [ウマ]咴儿咴 [イヌ]汪汪 [ネズミ]吱 [ニワトリ]咯咯咯;((メンドリは))咕咕;((オンドリは))喔 [トリ]叽叽,喳喳,啾啾 [アヒル・ガチョウ]嘎嘎 [カラス]呱呱,嘎嘎,哇哇,哑哑 [カエル]呱呱 [コオロギ]㘗
❷ “象声词”の形式
音節数によって分類すると,1音節(A型),2音節(AA型,AB型),3音節(AAB型,ABB型),4音節(AABB型,ABAB型,A里AB型,ABCD型,ABCB型)のような基本パターンに分けることができる.また,AB型はABAB型にすることもできるし,AABB型はAA型を二つ合わせてできたものも多い.そのほかに,表現の必要に応じて「繰り返し」や「重ね」などによる変形もみられる.
1音節語 [A型]嚓,噌,呼,哗
2音節語 [AA型]哗哗,汪汪,唧唧
[AB型]轰隆,丁当,喀嚓
3音節語 [AAB型]丁丁当,滴滴答,咚咚嚓
[ABB型]嘀铃铃,轰隆隆,哗啦啦
4音節語 [AABB型]丁丁当当,滴滴答答
[ABAB型]哇啦哇啦,呜噜呜噜,呼噜呼噜
[A里〔哩〕BC型]叽里咕噜,叽里呱拉,唏哩哗啦
[ABCD型]丁零当郎,嘁哧喀嚓,乒零乓啷
[ABCB型]叽吱咯吱,劈嗒啪嗒
①“象声词”は普通,第1声で発音するが,会話の中で用いる場合,話し手の語気によって多少の変化がある.また,書き言葉からきた語は第1声以外の声調で発音することも多い.
②A型の擬声語で動物の鳴き声や連続音を表すには,声を引き伸ばしたり重ねてAA型にしたりすることが多い.
③“咕嘟”“咕噜”“呱唧”などのようなAB型2音節語は,Bの音節を軽声に発音すると動詞になるものもある.たとえば,“咕嘟咕嘟”は「ぐらぐら」や「ぐつぐつ」など液体が沸騰する音を表すが,と発音すると「長い間煮る.煮込む」の意味になる.
④A里〔哩〕AB型とABCD型の場合,2音節目の「里〔哩〕」と「B」はいつも軽声に発音する.
⑤話し言葉の“象声词”の2音節語以上の語は普通,アクセントをいちばん最後の音節に置く.
❸ “象声词”の用法
①単独で用いる場合
咚、咚、咚,听到有人敲门/どん,どん,どんとドアを叩く音が聞こえた.
②名詞を修飾する場合
[擬声語+“的”+名詞]
哗哗的雨声/ざあざあと(降る)雨の音.
劈哩啪啦的掌声/ぱちぱちという拍手の音.
[AA型+“声”]
沙沙声/さくさくという音.
嗡嗡声/ぶんぶんという音.
③動詞を修飾する場合 単発の音や短い動作を表すには,“刷地一跳,就到了对岸”(さっと飛びあがって向こう岸に渡った)のように動詞の前に“一”をつけていうこともある.連続した音を表すには,よく動詞の前に“直”,動詞の後に“一阵”などをつける.
[擬声語+“地”+動詞]
阿嚏、阿嚏地直打嚏喷/はくしょん,はくしょんとしきりにくしゃみをする.
唏哩哗啦地下了一阵雨/にわか雨がざざあと降ってきた.
[擬声語+動詞]
肚子咕噜噜直响/おなかがぐうぐう鳴る.
[動詞+“得”+擬声語+“的”]
哭得呜呜的/おんおんと泣いている.
风刮得呼呼的/風がぴゅうぴゅう吹いている.

