中日辞典 第3版の解説
[少知識]量词
❶ “量词”とは
日本語では,紙は「1枚」,鉛筆は「1本」,人は「一人」のように数える.この日本語の「枚,本,人…」(助数詞)にほぼ相当するものを,中国語では“量词”という.
“量词”(量詞)は数を計る単位である.したがって,量詞にはメートルやグラムなどの度量衡の単位が含まれる.しかし,量詞の特徴は形態の区別や容器なども単位として数えるところにある.このような単位を設定することにより,たとえば水の場合,“一滴
水”(1滴の水),“一杯 水”(1杯の水),“一片 水”(一面の水)のように,分量は大まかにしか示せないが水のありさまを具体的に示すことができる.“一片水”の“片”は本来は木片をさした.後に平たくて薄いもの一般をさすようになり,その後,平たくて薄いものを数える量詞として広く使用されるようになった.このように,数える事物の形状・特性に合わせて使用される量詞を「個体量詞」という.量詞の特徴を代表するもので,“一片肉”(一切れの肉),“两片面包”(二切れのパン),“三片叶子”(3枚の葉)のように,数量を数える単位として働くと同時に,肉などが「平たくて薄い」形であることをも表している.さらに,“片”は,水や土地のように大きく広がったものに対しても,また風景・音・気持ちなどに対しても用いることができる.こうした場合には,数詞は“一”または“几”に限られ,単位としての働きは弱くなり,後に来る名詞を形容する働きのほうが強くなる.たとえば“一片沙漠
”(見渡す限りの砂漠),“一片真心”(全くの真心)など.量詞は,事物を数える「名量詞」と,動作の量を計る「動量詞」に大別される.
❷ 名量詞
名量詞は,数詞と組み合わせて名詞を修飾する.
❸ 動量詞
動量詞は,数詞と組み合わせて動詞の後に置き,動作の回数や期間を表す.
まず動作の回数を表す動量詞を挙げる.
我们讨论
了三次/私たちは3回討論した.他说了两回/彼は2回言った.
回数を表す動量詞には,ほかに“趟
、遍 、顿 、下 ”などがあり,さらに,ある程度の時間を伴う“阵 ”などがある.“回”は“次”に比べて話し言葉で多用される.“遍”は動作の始めから終わりまでを一通りと数える場合に用い,“下”は瞬間的な動作・行為を数えたり,“一下”の形で「ちょっと」という意味で用いる.“趟”は往復の一回を数える時に用い,“顿”は「食べる.殴る」など限られた動詞にしか用いることができない.次に期間を表す動量詞を挙げる.
我在北京待
了三天/私は北京に3日間滞在した.咱们休息一会儿吧/私たちしばらく休みましょう.
“会儿”は多くが“一会儿”の形で用いられ,「しばらく」の意味を表す.期間を表す動量詞には,ほかに“分”(分間)“年”(年間)などがある.また,量詞“个”のあとに名詞を付け加えた“…个小时”(…時間)“…个星期”(…週間)“…个月”(…か月)なども,全体でひとつの動量詞相当のはたらきをしている.
我儿子每天睡六个小时/私の息子は毎日6時間眠る.
雨持续了一个月/雨は1か月続いた.
このほか動作・行為に関連する身体の部分や道具を表す名詞が動量詞として用いられる“看一眼”“打一拳”“放一枪”のような例がある.「専用動量詞」に対して,「借用動量詞」といえるものである.
❹ 数量詞の働き
数詞と量詞の組み合わせを「数量詞」と呼ぶ.
数詞が“一”の場合,数量詞を重ねて名詞を修飾することができる.事物が多数であることを具体的に表現するときに用いる.
桌子上摆
着一盘 一盘的水果/テーブルには幾皿もの果物が並んでいた.量詞そのものも重ねて用いることができ,例外がないことを表す.
条条道路通北京/どの道も北京に通じている.
重ねた数量詞は動詞・形容詞を修飾することができ,「次々に.しだいに」の意味を表す.
我们两个两个地出发
了/われわれは二人ずつ出発した.天气一天一天地暖和
起来了/日一日と暖かくなってきた.数量詞は動詞・形容詞を修飾することができる.
两次,三次地修改
/2度,3度と直した.一口吞下
/一口にのみ下した.上例のように数詞が“一”の時は,「一気に.力を入れて」の意味が加わる.
「“一”+量詞」は英語の不定冠詞(a,an)に似た働きをする.“一”は省略することもある.
古代有(一)位老人,住在华北
,名叫愚公 /昔ある老人が華北に住んでいた.その名を愚公といった.(新事物の導入を表す)我们要把我国建设
成为一个强大 的社会主义国家/われわれはわが国を強大な社会主義国家にしなければならない.(抽象的な事物に加え,具体化・強調をする)文学上有(一)部《红楼梦
》/文学においては『紅楼夢』という作品がある.(固有名詞に加え,紹介の働きをする)