《荘子》(読み)そうじ

世界大百科事典(旧版)内の《荘子》の言及

【混沌】より

…また,《山海経(せんがいきよう)》西山経によれば,天山に帝江(=鴻)という神が住み,その姿は黄色い袋のようでまっ赤な光を放ち,6本の足と4枚の翼をもっており,〈渾敦として面目は無〉いが,歌や踊りができるという。このように神話的世界における混沌は,悪・愚・醜なるものとしておとしめられているが,これをプラス価値に逆転させたのが荘子であった。彼はこの混沌の神話を次のような寓話として再生させる。…

【せむし】より

…チェーホフの戯曲《プロポーズ(結婚申込み)》で,隣人と口論して地主ロモフが叫ぶ〈あんたのお母さんは,せむし女だったじゃありませんか〉という言葉にも侮蔑がこめられている。 せむしを醜形として差別していたからこそ,この障害に超然として生き,常人に勝る知力や人間性を発揮した話を荘子は好んで扱った。《荘子》の人間世篇には支離疏(しりそ)という男がせむしのおかげで兵役や労役を免れ,政府から穀物と薪をもらって天寿を全うした話があり,大宗師篇には病によってせむしになった子輿が平然としていた話があり,達生篇には痀僂(くる)の老人が蟬をとる至芸を孔子が感嘆した話がある。…

【荘子】より

…荘周とも称される。その伝記には不明な部分が多いが,《史記》本伝や《荀子》など先秦諸子の書の記事および《荘子》外・雑篇に散見される荘周説話などによれば,およそ前370‐前300年ごろの人で,故郷の蒙で漆園の管理に携わる小役人を務めるかたわら,名家の巨匠恵施と親しく交わった知識該博な学者であり,楚王から宰相に迎えられたのも辞退して,おおむね清貧の中で自適の生涯を送ったようである。 一般に老子の思想をうけて道家思想を大成した人物とされ,〈老荘〉と並称されるが,両者の思想にはかなりの差異が認められる。…

【中国文学】より

…戦国の政論家〈説客(ぜいかく)〉の雄弁術のめざましい発達は,対句(ついく)の技巧の成長を促し,散文は急速に進歩した。〈諸子〉の著作の中で,儒家の《孟子》と道家の《荘子(そうじ)》とが文学的にはすぐれていた。比喩の巧みさと話題のゆたかなことは共通するが,《孟子》は説得力に富み,《荘子》は逆説にみちつつ壮大な想像の世界を描く。…

※「《荘子》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」