並べる(読み)ナラベル

デジタル大辞泉 「並べる」の意味・読み・例文・類語

なら・べる【並べる/双べる】

[動バ下一][文]なら・ぶ[バ下二]
並んだ状態に位置させる。列をなすように位置させる。また、隣り合わせに置く。「二列に―・べる」「肩を―・べて歩く」「机を―・べて勉強した間柄
ひきあててその優劣を比べる。「芭蕉蕪村を―・べて論じる」
「花のさかりに―・べて見ばや」〈・若菜上〉
いくつも、またいろいろなものを次々と置く。「碁石を―・べる」「食卓に料理を―・べる」
次々といくつもあげて言う。「欠点を―・べる」
時間的に続ける。連続させる。
―・べて君を来ませとちはやぶる神の社をまぬ日はなし」〈・二六六〇〉
[用法]ならべる・つらねる――「美辞麗句を並べる(連ねる)」「軒を並べる(連ねる)」など、列にして位置させる意では相通じて用いられる。◇「並べる」は、列を作って位置させること。「机を五列に並べる」「机の上に開いた本を並べて調べる」◇「連ねる」は縦でも横でも1列に位置させること。ばらばらの状態には使わない。「車を連ねて行進する」「名簿に名を連ねる」など。◇類似の語に「配列する」「羅列する」がある。「配列する」は、ある基準に従ってきちんと並べること。「五十音順に配列する」「メーカー別に商品を配列する」など。「羅列する」は、やたらに、またずらりと並べること。「無意味な文字を羅列してもしようがない」
[下接句]肩を並べるくつわを並べる机を並べる軒を並べる不平を並べるまくらを並べる
[類語](1連ねる/(2比べるする突き合わせる引き合わせる比較する対比する対照する照合する類比するはかりに掛ける見比べる引き比べる引き当てる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「並べる」の意味・読み・例文・類語

なら・べる【並・双】

  1. 〘 他動詞 バ下一段活用 〙
    [ 文語形 ]なら・ぶ 〘 他動詞 バ下二段活用 〙
  2. 二つ以上のものを近く接して位置させる。一列にそろえる。
    1. (イ) 空間的に近づける。つらねる。並列させる。
      1. [初出の実例]「貴人の 立つる言立(ことだて) 設弦(うさゆづる) 絶えば継がむに 奈羅陪(ナラベ)てもがも」(出典:日本書紀(720)仁徳二二年正月・歌謡)
    2. (ロ) 時間的に近づける。つづける。かさねる。
      1. [初出の実例]「わが背子が屋戸の石竹花(なでしこ)日奈良倍(ナラベ)て雨は降れども色も変らず」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四四二)
    3. (ハ) いくつかの物事をとりそろえる。整える。
      1. [初出の実例]「其の数湏く二十一丸を隻(ナラヘ)上法と為」(出典:蘇悉地羯羅経承保元年点(1074)下)
  3. ひきあててその優劣をくらべる。また、匹敵させる。ひきあてる。
    1. [初出の実例]「乎久佐壮子(をくさを)と乎具佐助丁(をぐさずけを)と潮舟の那良敝(ナラヘ)て見れば乎具佐勝ちめり」(出典:万葉集(8C後)一四・三四五〇)
    2. 「ソノ ヒトニ カタヲ naraburu(ナラブル) モノワ ナイ」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  4. ( ことばを次々に並べるの意で ) たてつづけにいう。次々といいたてる。
    1. [初出の実例]「人の事請取出入の噯(あつか)ひ又は内談などに、言葉ならへて物よくいふ人もなし」(出典:浮世草子西鶴織留(1694)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android