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むし歯(う蝕症) 【むしばうしょくしょう】

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家庭医学館の解説

むしばうしょくしょう【むし歯(う蝕症) Dental Caries】
 
◎歯垢(しこう)にすむ細菌が原因
[どんな病気か]
[症状]
適切処置予防がたいせつ
[治療]
[予防]

[どんな病気か]
 むし歯は、歯の表面に沈着した食物の残りかすによってできる歯垢(プラーク)にすむ微生物が、食物中の糖分を栄養にして酸(有機酸)をつくり、その酸により、硬い歯がとかされる病気です。
 酸がつくられる結果、プラークの酸性度は増し(pHが低下)、歯の表面のエナメル質のハイドロキシアパタイトからカルシウムやリン酸イオンがとけ出してしまうことになります。
 しかし、唾液(だえき)には、酸を薄めたり中和したりする緩衝作用があるので、プラークの酸性度は時間とともに徐々にもとの状態に回復し、一度とけ出したカルシウムやリン酸イオンは再びエナメル質に戻ってきます。この溶出と回復の変化は、毎日の食事のたびにくり返しおこっている現象です。
 エナメル質からカルシウムやリン酸イオンがとけ出すことを脱灰(だっかい)、再びもどることを再石灰化(さいせっかいか)と呼び、このバランス崩れて脱灰が再石灰化よりも亢進(こうしん)して歯がとけるのが、むし歯です。
●むし歯になりやすい状態とは
 脱灰・再石灰化の戦いは、歯質(ししつ)が舞台です。攻撃側が細菌、味方は唾液によって行なわれます。援軍としては、細菌が酸をつくれないような食事指導、歯質を変えることのできるフッ素イオン、キシリトール投与などがあります。
 むし歯になりやすい状態とは、むし歯の原因となる性質をもった細菌が、高い感受性をもつ宿主と重なり、酸のもとになる食物をよく食べるという三拍子そろったとき、ということになります。むし歯になりやすいかどうかを自分で判断することはむずかしいのですが、う蝕感受性試験や唾液緩衝能を計る検査も一般的になってきましたので、歯科医に相談するとよいでしょう。

[症状]
 歯が水にしみたり、痛んだりします。歯が痛いといっても、硬いエナメル質が痛むわけではありません。歯の中央部にある歯髄(しずい)と呼ばれる血管や神経を含む組織が、いろいろな刺激に反応するために痛むのです。
 歯髄は生涯、象牙質(ぞうげしつ)をつくり続け、つくられた象牙質の中には多くの細胞の突起が入っている管が残ります。冷たいものがしみるのは、この管の中の内液が収縮するためで、熱いものが痛みをおこすのは、内液が膨張して、歯髄の神経を刺激するからです。同じように、チョコレートなど甘いものをかんだときにしみるのは、浸透圧の関係で管の内液の移動がおこり、神経を刺激するからなのです。
 基本的には、エナメル質があれば刺激が象牙質に伝わらないので痛むことはありませんが、エナメル質がなくなると、痛みなどの症状がではじめます。
●むし歯の進行度
 むし歯は、進行の度合いによってつぎのような段階に分けられます。
 要観察歯(C0 自覚症状はないが、歯にわずかな変化がある状態です。歯の表面にチョークのような白色斑(はくしょくはん)がみられたり、歯の溝がやや褐色から黒ずんでいるようなものは、むし歯とはいえません。脱灰と再石灰化の状況でやや脱灰が上回った状態といえるでしょう。しかし、放っておいてよいという意味ではありません。フッ素を使ったり、唾液の分泌を促すようなことで再石灰化を期待できるような状態で、経過観察(Observation)の意味です。
 う蝕第1度(C1 C0との鑑別はむずかしいところですが、脱灰がさらに進んで肉眼的にはエナメル質が黒褐色や白濁するようになった状態といえます。冷水や温水がしみたりすることもなく、自覚症状はほとんどありません。
 う蝕第2度(C2 むし歯は、歯の内部で進行するので、むし歯の穴の周囲のエナメル質は、象牙質という支えを失って、どんどん穴を広げていきます。このようにむし歯の穴が大きくなり、脱灰に対する抵抗力の弱い象牙質にまでむし歯がおよぶと、う蝕症の第2度と呼ばれ、食物がむし歯の穴の中につまるようになったり、水、お湯や甘いものなど、さまざまな刺激によって痛みを感じるようになります。
 この時期には、実際に見える穴より、内部で数倍も穴が広がっていることが多く、歯の中心部の歯髄に少なからず炎症がおよび、症状が出ます。症状が強いほど、むし歯が歯髄に近いか、歯髄にまで達しているといえます。
 う蝕第3度(C3 象牙質が完全におかされ、むし歯が歯髄にまで波及すると、う蝕症の第3度となります。ちょっとした刺激で激痛がおこったり、夜、寝ているときなどにズキズキ痛む自発痛などをおこしてきます。
 う蝕第4度(C4 むし歯が進行し、歯ぐきの上に見えるすべての歯(歯冠(しかん))がとけて、歯の根だけになった状態です。歯髄は死んでいて、自発痛はそれほどないのがふつうですが、根の先に病巣ができていることが多いものです(根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)(「歯根膜炎(根尖性歯周炎)」))。
 ただし、学校検診では要治療歯はすべてCと表わします。

[治療]
 むし歯は、脱灰と再石灰化のバランスの崩れからおこるので、その人の感受性を改善し、細菌の活性を低下させて、バランスを回復することが治療の基本的な考え方です。
 しかし、むし歯になってしまったら、エナメル質や象牙質の欠損は自然には治らないので、金属やレジン材(高分子材料)で欠損部分を修復する必要があります。むし歯の状態により、適切な処置がたいせつになってくるのです。
 歯の痛みがあるときは、クレオソートなどをむし歯の穴につめることで一時的に疼痛(とうつう)を抑えたり、飲み薬で痛みをやわらげることはできますが、このような家庭治療では、むし歯の進行はとめられません。むし歯の痛みに対しては、歯科医に診断してもらい、正しい処置を受ける必要があります。
 初期のむし歯に対する対応は、むし歯の進行を食い止め、唾液による再石灰化を促すこととされています。現在ではさらに積極的な方法として、カルシウムやフッ素の導入がさけばれています。とくにキシリトールという糖アルコールは非酸産生の甘味料で、唾液の分泌量(ぶんぴつりょう)やプラーク中のカルシウム量を増やし、酸の産生を減少させます。
 ですから、蔗糖(しょとう)などの酸産生食品を摂取した後に、すぐキシリトールを摂取すると、酸の産生を抑制することが知られています。また、むし歯の初期(C0、C1程度のもの)の病巣の再石灰化を促すともいわれています。
●C0、C1の治療
 昔は白濁した部分を削って、金属やレジンをつめる治療法が主流でしたが、現在では、治療を必要としない場合も少なくありません。フッ素を含む歯みがき剤や含嗽剤(がんそうざい)(うがい薬)を使ったり、唾液の分泌を促すことで再石灰化を期待し、歯を削ることはしない方向にあります。
●C2の治療
 症状が、水がしみるといった程度の場合は、むし歯の部分だけ削り取り、金属やレジンに置き換える治療が必要になります。
 症状がもう少しひどい場合には、鎮静効果のある薬を置いて歯の神経である歯髄の保護を行なったうえで、同様の充填(じゅうてん)処置が必要となります。それでも症状が改善しないときは、歯髄の処置(除去)を行なわざるをえません。
●C3の治療
 むし歯は歯髄にまで波及しており、お湯にしみるとか、夜間に激しい痛みがあるなどの症状があるので、歯髄の一部または全部を除去(抜髄(ばつずい))する必要があります。抜髄した後は、歯髄のあった場所を人工物で緊密に埋めます(根充(こんじゅう))。
 その後、歯牙(しが)の欠損状態によりますが、金属やレジンで土台をつくり、その上に金属による補綴(ほてつ)(冠をかぶせる)を行ないます。
●C4の治療
 残った根の治療を行なった後、金属の土台をつくり、人工歯冠をかぶせることもできますが、多くの場合、むし歯の進行が深く、抜歯(ばっし)が適応となります。

[予防]
 細菌(プラーク)の歯への攻撃を小さくするためには、適切に口腔(こうくう)の清掃を改善する必要があります。また、細菌の増殖を助ける食物(砂糖など)を少なくするためには、砂糖制限が必要となり、間食の砂糖を含むスナック菓子などを避けることも重要です。もちろん全身的な健康面から、適切な食事を心がけることも忘れてはなりません。
 むし歯に対する感受性を小さくし、抵抗力を高めるためには、フッ素の使用が有効となります。また、適度にかむことで、唾液の分泌を促すような食事も推奨されています。


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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

むし歯(う蝕症)に近い言葉→むし歯|松虫・鈴虫|水虫/タムシ|差歯|シュムシュ島|櫃まむし|ヘマムシ入道|無始無終

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