もさ(読み)モサ

デジタル大辞泉 「もさ」の意味・読み・例文・類語

もさ[名]

言葉の終わりに「もさ」と付けるところから》関東人をあざけっていう語。転じて、いなかもの。
やい―め、この女郎こっちへもらふ」〈浄・油地獄

もさ[間助]

[間助]《「申さん」の音変化か。近世の関東語》文末にあって親愛気持ちを表す。
「霞む祇園の恋しいぞ―」〈奴俳諧

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精選版 日本国語大辞典 「もさ」の意味・読み・例文・類語

もさ

  1. [ 1 ] 〘 間投助詞 〙 ( 「申さん」の変化したものという ) 文節末にあって親愛の気持をこめる。近世の関東方言。
    1. [初出の実例]「霞祇遠のこいしいぞもさ ぬるっこき清水あびて神祈り」(出典:俳諧・やつこはいかい(1667))
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. ( ことばの終わりに「もさ」という語を付けたところからいう ) 関東の人をあざけっていう語。転じて、田舎者。また、やぼな人をあざけってもいう。
      1. [初出の実例]「肥とりもさといへる者痩せたる馬に大きなる桶二つつけて」(出典:仮名草子・可笑記(1642)四)
    2. 巡礼のこと。
      1. [初出の実例]「あたたかな・金出す順礼(モサ)が真懐」(出典:雑俳・西国船(1702))

もさの補助注記

[ 一 ]は「歌舞妓年代記‐元祿元年」によると、中村伝九郎という役者が元祿年間(一六八八‐一七〇四)に朝比奈の役をつとめるにあたり、乳母の常陸弁をまねて「性はりな子だアもさア、いふことをお聞きやりもふさねへと、ちいちいに喰(かま)せるよ」と初めて歌舞伎の台詞の中に取り入れ、これが評判となって後に奴詞として定着したという。


もさ

  1. 〘 名詞 〙 盗人・てきや仲間の隠語
  2. (イ) 腹をいう。〔隠語輯覧(1915)〕
    1. [初出の実例]「モサ(腹)立った俺は、矢萩のかわりにこの四・五・六を殺したくなった」(出典:いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉四)
  3. (ロ) 度胸をいう。〔特殊語百科辞典(1931)〕
    1. [初出の実例]「俺のことか。モサナシ(度胸がない)とは俺のことか」(出典:いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉四)
  4. (ハ) 掏摸(すり)、掏摸の常習者をいう。〔日本隠語集(1892)〕
    1. [初出の実例]「モサ(掏摸)の手許を狂はせさせないところから」(出典:彼女とゴミ箱(1931)〈一瀬直行〉電線と掏摸)

もさ

  1. 〘 名詞 〙 木の串(くし)を使って早く一定の形に並べる子どもの遊び。十六六指(じゅうろくむさし)系統に属するもの。

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普及版 字通 「もさ」の読み・字形・画数・意味

娑】もさ

なでる。

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