デジタル大辞泉
「やい」の意味・読み・例文・類語
やい[終助]
[終助]《間投助詞「や」+終助詞「い」から》体言や、活用語の終止形・命令形、助詞に付く。
1 相手に対し強く言い放ったり、強く呼びかけたりする意を表す。…よ。「そんなことではないやい」
「太郎冠者あるか―」〈虎明狂・張蛸〉
2 同輩もしくは目下の者に対し軽く命令したり、さげすみはやしたりするときにそえる語。「よせやい」「泣き虫やい」
[補説]「やよ」の音変化ともいう。中世末ごろから使用された語。
やい[感]
[感]目下の者などに呼びかけたり詰問したりするときや、人を強迫したりするときに発する語。おい。こら。「やい小僧、こっちを向け」「やい金を出せ」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
や‐い
[一] (間投助詞「や」と「い」の重なったもの)
文末にあって
詠嘆を表わす。→
補注。
※定頼集(1053頃)「
あな憂やいこめてそただに止みなましかくつらからむ物と知りせば」
[二] (間投助詞「や」に終助詞「い」の付いたもの)
① 文末にあって聞き手に強く働きかける。室町時代から江戸前期に用いられた。→
やいの。
※虎明本狂言・
麻生(室町末‐近世初)「藤六あるかやい」
② 人を表わす体言を受け、呼びかけたりはやしたりするのに用いられる。→
やいの。
※
咄本・無事志有意(1798)竹光「推参もすさまじい。折介やい。のろまやい」
[補注](1)(一)の
挙例の「定頼集」の歌には「やいこめ」の題がついており、確例と思われるが他には
類例が見当たらない。
(2)(一)と(二)とは時代的にも、
用法にも差が認められる。また、終助詞「い」は中世以降に発生したとされている。→
い(三)①
やい
※匠材集(1597)三「やよやまて やいしばしまて也」
※虎明本狂言・
文荷(室町末‐近世初)「やい。それならばおもしろひ事いはふ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報