やくざ(読み)ヤクザ

デジタル大辞泉 「やくざ」の意味・読み・例文・類語

や‐く‐ざ

[名・形動]三枚ガルタ賭博とばくで、の3枚の組み合わせで最悪の手となるところから》
役に立たないこと。価値のないこと。また、そのものや、そのさま。「やくざに暮らす」「やくざ機械」「やくざ仕事」
ばくち打ち・暴力団員など、正業に就かず、法に背くなどして暮らす者の総称。「やくざ渡世」
[類語](2ならず者ごろつき地回り暴力団無頼漢無法者与太者ごろちんぴら暴漢暴れ者暴れん坊暴徒荒くれ者兇漢凶賊奸賊海賊山賊賊徒賊子逆賊謀反人悪人悪者悪漢悪党悪玉悪女毒婦食わせ物詐欺師山師ペテン師いかさま師あくわる凶徒凶手人非人人でなし奸物曲者あぶれ者

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精選版 日本国語大辞典 「やくざ」の意味・読み・例文・類語

や‐く‐ざ

  1. 〘 名詞 〙 ( カブ賭博の一種である三枚ガルタで、八(や)(く)(さ)の札がくると、ブタのうちでも最悪の手になるところから )
  2. ( 形動 ) 一般に、物事が悪いこと。役に立たないこと。つまらないこと。粗末なこと。生活の態度がまともでないこと。また、そのものやそのさま。
    1. [初出の実例]「エエ埒もない八九三(ヤクザ)の眶(まぶた)に出合うて」(出典:浄瑠璃・和田合戦女舞鶴(1736)四)
    2. 「私のやうな斗筲(ヤクザ)な者は」(出典:平凡(1907)〈二葉亭四迷〉四三)
  3. 博打打ちや無職渡世の遊び人、また、暴力団員など、正業につかず、法に背くなどして生活の資を得ている者の総称。無頼漢。ならずもの。やくざもの。
    1. [初出の実例]「智恵も器量も馬鹿も八九三(ヤクザ)もない袖はふられず」(出典:談義本・八景聞取法問(1754)五)

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改訂新版 世界大百科事典 「やくざ」の意味・わかりやすい解説

やくざ

〈やくざ〉の語源は〈八九三のブタ〉といい,賭博(とばく)のいちばん悪い目から出たというのが通説である。たとえば,喜多村信節《嬉遊笑覧》(1830)には,〈亡父語りしは,我覚えてより新言葉三あり。やくざ,べらぼう,今一つは何とやらいひしが,是もと博徒のことばにして,十とつまるは数にならず,八九三,二十とつまる故,悪きことの隠語を八九三といひ始めたるなり〉とあり,また同様の文言は他書にも見られる。つまり〈役に立たぬもの〉〈つまらぬ人間〉,そして〈遊び人〉を指して〈やくざ〉というにいたったものであろう。やくざといわれる一つの典型は博徒であり,賭博を業とする渡世人である。また,てきや,あるいはかつての壮士くずれなどもやくざと呼ばれていた。これらはいずれも稼業を異にするが,最近では,相互の境界がくずれて,一家や組の組織をもつ暴力団もやくざと総称されている。

 一般にやくざの組織の中心的な絆(きずな)は,親分子分,兄弟分の関係であり,とりわけ親分の支配に対する子分の絶対服従がその団体の団結の強さを示すものとされている。また何々一家と称する一家を基本単位としている。

 〈やくざ〉の意味するものは変化しているが,基本的には伝統を重んじ,各種の特有な儀礼・慣行等をも有している。たとえば,〈じんぎ〉の慣行は独特な挨拶と相互間の倫理規範の二義をもつものである。また,親子盃,跡目相続,一家名のり,手打式等の各機会に行われる特異な手順をもつ誓盃儀礼,巡達やわらじ脱ぎの渡りの慣行,破門や制裁のエンコヅメ(指つめ),独特な隠語,一定の書式をもつ〈ちらし〉,一家を象徴する〈だいもん〉(代紋)の使用などがあり,それらの諸要素が関連しあってその閉鎖性を維持している。
博徒 →暴力団
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「やくざ」の意味・わかりやすい解説

やくざ

生業がなくて、ぶらぶらと生活している無職渡世の人々。一般的にはかたぎの人と対照的に、博徒(ばくと)、愚連隊、暴力団などの人々をやくざ者とよんでいる。やくざという名称は八九三とも書く。3枚の札の合計点で争うカブという花札の賭(か)け事で、合計点から10またはその倍数を差し引いて9になるのを最高とし、逆に10をブタといい10またはその倍数を最低の0点とする。8、9、3の3枚では合計20で0点になる。そこから、無職渡世で生業につこうとしない者を八九三、つまりやくざとよぶようになったといわれている。

[倉茂貞助]

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