デジタル大辞泉 「やくざ」の意味・読み・例文・類語
や‐く‐ざ
1 役に立たないこと。価値のないこと。また、そのものや、そのさま。「
2 ばくち打ち・暴力団員など、正業に就かず、法に背くなどして暮らす者の総称。「
[類語](2)ならず者・ごろつき・地回り・暴力団・無頼漢・無法者・与太者・ごろ・ちんぴら・暴漢・暴れ者・暴れん坊・暴徒・荒くれ者・兇漢・凶賊・奸賊・海賊・山賊・賊徒・賊子・逆賊・謀反人・悪人・悪者・悪漢・悪党・悪玉・悪女・毒婦・食わせ物・詐欺師・山師・ペテン師・いかさま師・
〈やくざ〉の語源は〈八九三のブタ〉といい,賭博(とばく)のいちばん悪い目から出たというのが通説である。たとえば,喜多村信節《嬉遊笑覧》(1830)には,〈亡父語りしは,我覚えてより新言葉三あり。やくざ,べらぼう,今一つは何とやらいひしが,是もと博徒のことばにして,十とつまるは数にならず,八九三,二十とつまる故,悪きことの隠語を八九三といひ始めたるなり〉とあり,また同様の文言は他書にも見られる。つまり〈役に立たぬもの〉〈つまらぬ人間〉,そして〈遊び人〉を指して〈やくざ〉というにいたったものであろう。やくざといわれる一つの典型は博徒であり,賭博を業とする渡世人である。また,てきや,あるいはかつての壮士くずれなどもやくざと呼ばれていた。これらはいずれも稼業を異にするが,最近では,相互の境界がくずれて,一家や組の組織をもつ暴力団もやくざと総称されている。
一般にやくざの組織の中心的な絆(きずな)は,親分,子分,兄弟分の関係であり,とりわけ親分の支配に対する子分の絶対服従がその団体の団結の強さを示すものとされている。また何々一家と称する一家を基本単位としている。
〈やくざ〉の意味するものは変化しているが,基本的には伝統を重んじ,各種の特有な儀礼・慣行等をも有している。たとえば,〈じんぎ〉の慣行は独特な挨拶と相互間の倫理規範の二義をもつものである。また,親子盃,跡目相続,一家名のり,手打式等の各機会に行われる特異な手順をもつ誓盃儀礼,巡達やわらじ脱ぎの渡りの慣行,破門や制裁のエンコヅメ(指つめ),独特な隠語,一定の書式をもつ〈ちらし〉,一家を象徴する〈だいもん〉(代紋)の使用などがあり,それらの諸要素が関連しあってその閉鎖性を維持している。
→博徒 →暴力団
執筆者:岩井 弘融
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
生業がなくて、ぶらぶらと生活している無職渡世の人々。一般的にはかたぎの人と対照的に、博徒(ばくと)、愚連隊、暴力団などの人々をやくざ者とよんでいる。やくざという名称は八九三とも書く。3枚の札の合計点で争うカブという花札の賭(か)け事で、合計点から10またはその倍数を差し引いて9になるのを最高とし、逆に10をブタといい10またはその倍数を最低の0点とする。8、9、3の3枚では合計20で0点になる。そこから、無職渡世で生業につこうとしない者を八九三、つまりやくざとよぶようになったといわれている。
[倉茂貞助]
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