サファイア(英語表記)sapphire

翻訳|sapphire

デジタル大辞泉 「サファイア」の意味・読み・例文・類語

サファイア(sapphire)

コランダムの一。青色透明、また緑・黄色のものもある。濃青色透明なものは宝石にする。青玉。サファイヤ。
[類語]宝石たまぎょく宝玉勾玉原石金剛石ダイヤモンド玻璃石英水晶クリスタルクオーツ紫水晶アメシスト瑪瑙猫目石キャッツアイエメラルド翠玉緑玉石トパーズ黄玉オパール蛋白石トルコ石ターコイズガーネット柘榴石瑠璃鋼玉ルビー翡翠碧玉琥珀真珠パール

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精選版 日本国語大辞典 「サファイア」の意味・読み・例文・類語

サファイア

〘名〙 (sapphire)
① 青色のコランダム。透明な青澄色のものは宝石に用いられる。青玉(せいぎょく)。青宝石。
※夏痩(1890)〈尾崎紅葉〉一七「さふァいあ入(いり)の黄金指環を抜かむとすれば」
② 青玉色。碧(へき)玉色。〔外来語辞典(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「サファイア」の意味・わかりやすい解説

サファイア
sapphire

アルミナAl2O3の結晶であるコランダムのうちで,赤色のもの(ルビー)以外をサファイアという。青玉,青宝玉とも呼び,ダイヤモンドに次ぐ硬度と希少性,美しさにより,高価な宝石とされる。無色,青色はもとより,緑・紫・黄・褐色などがあり,おのおの頭に色名を冠して呼ばれるが,やや橙色を帯びたピンク色の石は,パパラチャ・サファイアと呼ばれ,蓮の花の色を意味する,サンスクリットのpadma rāgaから由来したといわれている。通常サファイアという場合には,最も多いブルー・サファイアを指し,その他の色合いのものをファンシー・サファイア(変り色)と総合的に呼んでいる。サファイアの語源は定かではないが,サンスクリットのsauriratna(サターンsaturnの石)がその起源とされる。神秘的な深みのある青色は,霊魂に安らぎを与え,憎悪の感情を遠ざけ,誠実や慈愛,徳望を象徴し,9月の誕生石となっている。サファイアは古来より神聖なる石とみなされ,12世紀以降,キリスト教の聖職者の指輪に選ばれてきたという。サファイアで最も尊ばれる色はカシミール産のコーンフラワー(矢車菊)色で,やや白味の淡色である。それに次いで,ミャンマー産のやや濃い青色のローヤル・ブルー,スリランカ産のやや淡色のものが続く。タイおよびオーストラリア産は産出量が多いが,多くがいわゆるインク青色のため,前記の2産地よりも価値は低くなる。また非常に細いルチル(酸化チタン(Ⅳ))の針状結晶の集積(シルク・インクルージョン)によって,アステリズム(星彩効果)の出るものをスター・サファイアという。ブルー・サファイアの色は,鉄分とチタン分の含有によるものである。この着色原因から,最近ではスリランカ産の,ルチルの針状結晶を内包した白色のギューダと称する原石を,高温で加熱処理し,チタン分を溶解し,内部に拡散させてブルー・サファイアにする人工処理も行われている。合成サファイアは,青色のみでなく各色のものが,合成ルビーと同様な火炎溶融法によって,1907年以降,また合成のスター・サファイアも49年以降各国で製造されている。
執筆者:

ギリシア人やローマ人がサファイアと呼んでいたのは,じつは現代人の知っているサファイアではなく,主として中央アジアに産するラピスラズリであった。たとえば大プリニウスも,サファイアには透明なものがなく,内部に節があるので彫り刻むには適さないと書いている。今のサファイアは透明で,彫り刻むことも可能なので,これはラピスラズリだと考えなければつじつまが合わないのだ。それでは古代人は今のサファイアを知らなかったのかというと,これについては何とも断言しがたく,たぶん古代人はアメシストあるいはヒアシンスの名でこれを呼んでいたのではないかと思われる。ヨーロッパのシンボリズムでは,サファイアはまず第一に空の青をあらわしている。青色が美しいために,眼病をいやす効能があると信じられた。またインドやアラビアでは,高熱の出るペストに効くともいわれた。11世紀のレンヌの司教マルボードMarbodeによれば〈サファイアは天上の玉座によく似た美しさをもっている。それは純朴なひとの心をあらわしている〉と。これらの点から見て,サファイアはエメラルドに似た効能をもっていると信じられていたことがわかるであろう。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サファイア」の意味・わかりやすい解説

サファイア
さふぁいあ
sapphire

宝石の一つ。鉱物学的にはコランダムと同じ。青ないし灰色。青色系統のものが良質とされる。単結晶の透明に近いものを球形に研磨して、c軸(6回対称軸にあたる)方向から見ると、星芒(せいぼう)と称する6方向に放射状に光る線が出現することがあり、このようなものをスター・サファイアという。これが出ると宝石としての価値がいっそう高められる。サファイアの産状としては、良質のものは、アルミニウムに富む堆積岩(たいせきがん)起源の接触変成岩あるいは特殊な玄武岩中のものがあげられる。花崗岩(かこうがん)質ペグマタイト気成鉱床、粘土鉱床など熱水交代岩、霞石(かすみいし)片麻岩中のものは、着色はしているが、良質のものは少ない。色の原因は明らかでない。9月の誕生石。

[加藤 昭]


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現代外国人名録2016 「サファイア」の解説

サファイア
Sapphire

職業・肩書
パフォーマンス詩人,作家

国籍
米国

生年月日
1950年

出生地
ニューヨーク州

本名
ロフトン,ラモーナ

学歴
ブルックリン大学

経歴
アフリカ系アメリカ人。米国内の軍基地を転々として育つ。父は暴君で、母は家族を捨てたが、26歳の時に母と再会し、ニューヨークのハーレムに移り住む。ストリップ・クラブのダンサーをし、ダンスを学びながら詩を書く。1986年母が死去、次いで弟、おばなど次々に失い、詩の内容も変化する。’87〜93年ニューヨークのオールタナティブ・スクールで読み書きを教える。’94年詩集「アメリカの夢」を出版。ブルックリン大学で修士論文を書くかたわら、日記帳に「ガッツ」を書きため、’96年「ガッツ」で作家デビュー。同年教師時代の体験をもとにした初めての小説「Push+」を発表。ハーレムで両親の虐待を受けながらも読み書きを学び、人生を切り開くアフリカ系少女の成長を赤裸々に綴った物語は世界中でベストセラーとなり、大きな評判を得る。日本では「プレシャス」として刊行された。2009年には映画化(「プレシャス」)され、シディベがアカデミー賞出演女優賞にノミネート、モニークが助演女優賞を獲得した。

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百科事典マイペディア 「サファイア」の意味・わかりやすい解説

サファイア

赤(ルビー)以外の色調をもつコランダムの宝石名。青いものが最上とされ,6条の星彩をもつものはスターサファイアと呼ばれて珍重される。9月の誕生石。主要産地はタイ,ミャンマー,カシミール地方,スリランカなど。→合成宝石
→関連項目アルミナ貴石誕生石宝石

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化学辞典 第2版 「サファイア」の解説

サファイア
サファイア
sapphire

鋼玉Al2O3(六方晶系,空間群 Rc,格子定数 a0 = 0.476,c0 = 1.30 nm.単位胞に6個の基本組成が含まれる)の濃青色のものをいう.色は少量のFe,Tiによる.青らん色の透明のものは宝石として用いられる.また,鋼玉の赤色のものはルビーとよばれ,その色は微量のCrによる.ともに時計などの軸受に用いられる.また,シリコンのエピタキシャル成長(エピタキシー)用の基板としても使用されている.ベルヌーイ法および水熱合成法により,広く合成が行われている.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サファイア」の意味・わかりやすい解説

サファイア
sapphire

青玉ともいう。六方晶系,菱面体晶族の鉱物。 Al2O3 。透明または半透明の青色を帯びた美しいコランダム (鋼玉) で,前 800年頃から宝石として珍重された。9月の誕生石。硬度9でダイヤモンドに次いで硬く,比重は 3.99で非金属鉱物としては異常に重い。結晶のC軸の方向から見たとき星状の蛋白光が見えるものをスター・サファイアという。無色,灰色,黄,薄いピンク,オレンジ,緑,紫,褐色のコランダムもサファイアとして知られ,赤色のものはルビーと呼ばれている。結晶質石灰岩,雲母片岩,片麻岩などの副成分鉱物として,閃長岩,霞石閃長岩の初生鉱物として,また煌斑岩の岩脈,ペグマタイト中に大きな結晶として産出する。産地はスリランカ,タイ,オーストラリア,アメリカ,マダガスカル,フランスやカシミール,ウラル地方など。ベルヌーイ法で人工的に合成され,天然のものと区別しがたい良質のものもある。

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世界大百科事典(旧版)内のサファイアの言及

【コランダム】より

…鋼玉ともいう。美しい赤色のものはルビー,また青色のものはサファイアといわれ,宝石として珍重される鉱物。化学組成はAl2O3であるが,少量のFe2O3,TiO2,Cr2O3などを含むものがある。…

※「サファイア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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